住人トラブルの備えと解決方法

2016年6月27日

住人トラブル

住人トラブルは、普段の私たちの社会生活にとって、潜在的に多い危険要因の一つです。こういったトラブルは、早い段階での適切な対処によって、事件や実被害への発展を防ぐことができます。

住人トラブルは被害が発生するまでは刑事事件とならない場合が多く、警察での対処には自ずと限界があります。また、いきなり弁護士を立てて訴訟となっても、問題が大きくなりすぎる心配や費用面での問題もあり、難しい側面があります。

このようなやっかいな住人トラブルの解決方法として紹介したいのが、ADR(裁判外紛争解決手続)です。

今回は、護身用品専門店から見た住人トラブルの実態と、有効な解決方法を紹介します。

避けられない住人トラブル

当店では護身用品の販売だけでなく、様々な相談も多く寄せられます。こういった相談の中で、昔から一定の割合で相談を受けるのが住人トラブルです。

人は社会で暮らします。よほどの事がない限り、山奥で一人きりで暮らしたりはしません。集合住宅であれ、住宅街であれ、必ずと言っていいほど近隣住人は存在します。人にはそれぞれ違う個性や性格、価値観を持っているため、こういった集団での生活では、社会に馴染めず問題となる人が必ず存在します。これは避けられない事実です。

実際に当店に寄せられる相談としては、例えばいつも向かいの住人がこちらを監視しているとか、飼い犬のことで険悪な関係になったとか、ゴミ捨てのルールでトラブルになったとか、日常生活の常識の相違といったものが目立ちます。

当店に寄せられるご近所トラブルに関する相談数は、実際に自分の身に危険を感じ始め、護身用品のことを知り、当店に実際に相談された方の数なので、社会全体のご近所トラブルのうち、ごく一部のはずです。日本全体において、実際に起きている住人トラブルは相当な数に上るものと想像します。

様々な被害ケースを耳にし、身を守りたいとする方々に護身用品を販売している当店の感覚では、社会性のないトラブルメーカーはどんな人の生活圏にも必ず存在します。程度の差こそあれ、問題を起こす人は身近にいて当たり前だと考えるべきでしょう。

問題の芽は早めに摘み取る

住人トラブルは多くの場合、事件や被害が発生する前からその徴候があります。最初の軽度ないさかいから、数々の段階を経て悪化していきます。

どのようなトラブルでも、多くの場合、最初は小さな問題です。現在のトラブル状況がどれほど進行していようとも、そのまま策を講じなければ改善することはありません。何もしなければ良くて現状維持、そして多くの場合は悪化してゆきます。

最悪の場合には凄惨な事件にまで発展しかねないご近所トラブルは、決して軽視できない問題です。自分や同居の家族に危険が及ぶ恐れがあるのはもちろんのこと、いつまでたっても解決しないご近所トラブルに悩まされながらの生活は決して楽しいものではありません。

防犯の一番大切な要素は危険の芽を摘み取ることです。常に危険は避け、より安全な行動を選択すること。これが護身の基本でもあります。ご近所トラブルも同じで、危険を放置しないことや、危険があれば解決するよう行動を起こすことが大切です。

護身の視点で考えると、危険は避けて行動すれば良いのですが、ご近所トラブルの場合には互いに住居があるため避けることは困難です。従って、解決するためには転居するか、トラブルのそものを解決するか、という2択になります。

住人トラブルを解決する究極の選択

住人トラブルを解決し、安心安全な暮らしを取り戻すための方法は、極論を含めると2択になります。

住人トラブルを解決する2択

  • 転居する
  • トラブルそのものを解決する

転居する

最も合理的な解決方法が転居であることは、誰の目にも明らかです。しかし、先述のようにトラブルメーカーはどこにでもいます。転居先で住人トラブルが起きた場合、また転居となる可能性もありますし、そもそも持ち家の場合には易々と転居することもできません。

トラブルそのものの解決

簡単ではありませんが、最も理想的なのがトラブルそのものの解決です。トラブルを根本から解決してしまえば、ご近所とも良好な関係を築けるし、将来に渡って安心して暮らすことができます。この具体的な解決方法については後述します。

住民トラブルは、まずは全力でトラブルそのものの解決を試み、最悪の場合には転居も視野に入れるようにするべきです。現在のトラブル状況と危険度を冷静に判断し、適切に対処しましょう。トラブルの放置は厳禁です。

記憶に新しい実際の事件

2015年の11月に起きた千葉県館山市の隣人殺害事件は、記憶に新しいところだと思います。

「みんなに迷惑かけないよう殺した」20年超続いたご近所トラブルの末の惨劇 1千人が減刑嘆願した理由とは…

「生活排水が流れてきている。カネを持ってこい」-。千葉県館山市で隣人男性のB氏=当時(73)=を殺害したとして、殺人罪に問われた男A(76)の公判で、B氏が執拗(しつよう)なクレームや嫌がらせをAに20年以上続けていたことや、ほかにも近所で多くのトラブルを起こしていたことが明かされた。殺害の際の心境を問われたAは「これ以上、住民にBが迷惑をかけないようにと考えた」。罪の軽減を求め、1千人以上が署名した嘆願書も提出される異例の展開となった法廷で、言い渡された判決は…。

http://www.sankei.com/premium/news/160619/prm1606190007-n1.html

この事件では、隣人トラブルが事件として表面化しないまま20年も続いています。そして、悪化の一途を辿り、最終的には殺人事件にまで発展しました。20年の間には何度も警察が間に入ったようですが、それでも問題の解決には至らなかったようです。

警察は基本的に違法者を法の下に取り締まることが役目なので、合法の範囲内の問題については問題解決能力がありません。また、これだけの人々が署名するということは、被害者による長年のトラブルを周囲が認識していたことに他なりません。

早い段階で問題を適切に解決できていればと思うと、悔しくてならない隣人トラブル事件です。

解決方法

住人トラブルは、その内容が刑法に抵触すれば警察に通報して解決します。しかし、警察は民事不介入の原則があり、ほとんどの場合は警察は注意程度しかできず、問題解決に取り組んでくれることはありません。かといって、いきなり弁護士に依頼したり裁判を起こすのは、私たち一般人にとっては敷居が高すぎます。

このようなとき、利用を検討したいのがADR(裁判外紛争解決手続)です。

ADR(裁判外紛争解決手続)は普段の生活上でのトラブルを、裁判ではなく第三者を交えた交渉で平和的に解決しようという試みで、住人トラブルに対しては初期段階で最も効果が見込まれます。

ADR(裁判外紛争解決手続)については国民生活センターが詳しく案内しています。

ADR(裁判外紛争解決手続)

身の回りで起こる様々な法的トラブルについて、裁判を起こすのではなく、当事者以外の第三者に関わってもらいながら解決を図るのがADRです。

国民生活センター

住人トラブルは問題がこじれる前の早期解決が大切です。問題解決の手段として、ADRの活用をおすすめします。

ADRをもっと知りたい方はこちらからどうぞ。

万が一の備えも重要です

住人トラブルの根本的解決は、ADR(裁判外紛争解決手続)などを活用した話し合いで、互いに理解し合い、納得することです。

しかし、住人トラブルの進行状況や悪化の度合いなどでは、危険が身近に差し迫ってる場合もあります。このような場合には警察に相談すべきです。

警察に相談すると、相手への注意や付近のパトロールの強化など、ある程度の対応はするはずです。効果はゼロではありませんので警察を活用しましょう。ただし、気を付けたいのは、警察は24時間ずっとその場にいて守ってくれるわけではないという点です。

住人トラブルをかかえ、怖い思いをしながらでも私たちには普段の生活があります。買い物、出勤、通学など外出しなければなりませんし、残された家族は一人で過ごすことになるかもしれません。

もし万が一危険に見舞われ、警察に通報したとしても、警官が駆けつけるまで10分から15分かかります。その間は自力で身を守らなければなりません。このような万一の備えとして催涙スプレーやスタンガンなどの護身用品を備えておくことをお勧めします。

護身用品は相手と一対一で対峙したときに、自分だけの力で身を守る手段です。最悪の事態が発生したとき、護身用品があるのと無いのとでは違いは明らかです。襲われたら、110番で警察に通報し、警察が到着するまでは護身用品を活用しながら自力で身を守る。こうすることで、身の安全をより確実にすることができます。

最後に

住人トラブルを含め、人間関係のトラブルは悪化する前に早めに対処しましょう。相手もここまではしないだろうといった安易な判断は禁物です。世の中には常識の通じない相手が多く、凶悪な事件は後を絶ちません。こと身の安全については楽観的ではなく、悲観的に考え、行動し、備えることが大切です。解決するためにあらゆる手を尽くすことはもちろんのこと、場合によっては迷わず警察に通報するようにしましょう。

そして、万が一の時には自分一人だけでも最低限身を守るための護身用品を備えるようにしてください。