護身・防犯コラム

最近高齢者宅の強盗が相次いでます。

「アポ電強盗」と言われているこれらの強盗は、犯行前に電話をかけてきて現金の有無などを確認し、強盗を行う手口です。アポイントメント=面会や会合の約束という言葉からアポイント電話強盗、すなわちアポ電強盗と言われているようです。

電話による犯罪は、これまではオレオレ詐欺のように、電話を使って被害者に自主的にお金の支払いを促すものでした。しかしここにきて、電話の後に強盗を行うという手口に変化してきています。そして、オレオレ詐欺同様に高齢者がターゲットとなり、自宅に押し入り、緊縛し、金品を奪うという凶悪な手口になっています。さらに2019年2月28日には東京江東区で強盗殺人という最悪の事件まで発生しました。

今回はこのような状況を踏まえ、高齢者が自宅でどのように強盗対策が可能なのかを現実的に考えてみます。

大前提:防犯カメラは役に立たない

強盗対策として真っ先に思いつくのが防犯カメラという方もいると思います。

ここでまずはっきりとさせておきます。

防犯カメラは犯罪を記録するためのものであり、当事者である被害者を救ってくれるものではありません。

この記事では、実際に強盗の被害者本人が身を守るためにどうすべきかという点に焦点をあてています。

「被害者が強盗から身を守る」という意味では防犯カメラは全く役に立ちません。

固定電話は使用をやめる

まずは固定電話の使用をやめることを検討してみましょう。

高齢者宅の皆さんの中には、着信番号の表示機能がない固定電話を使っている方もいるかもしれません。これでは電話に出なければ電話の相手がわかりません。

アポ電強盗の一番最初の段階は電話です。アポ電強盗を防ぐためには、かかってきた電話に出るか出ないかの判断が大きなポイントになります。

携帯電話なら迷惑電話の撃退なども設定が可能ですし、着信があれば必ず番号が表示されるので、誰からの電話なのかを通話前に知ることができます。つまり電話に出る前に、電話に出ないという判断が可能になります。さらに携帯電話なら非常時にワンタッチで110番したり、機種によっては防犯ブザーを鳴らしたりも可能です。

現在の社会にはもう固定電話は必要ありません。携帯電話(スマートフォン含む)だけで生活には十分です。使い方は至って簡単なので心配はいりません。

東京江東区で強盗殺人では強盗犯が犯行前に電話線を切断しています。電線に頼った固定電話では、電話線を切断されただけで孤立無援になり大変危険です。そういう意味でも、電話線に頼らない携帯電話の使用をお勧めします。

知らない番号の電話には出ない

知らない番号からの電話に出ないという対策は、高齢者にとってもシンプルでわかりやすい対策です。

アポ電強盗を始め、オレオレ詐欺の被害防止についても同様に、最も効果があるのは知らない番号からの電話には出ないという方法です。これが実践できれば、犯人はそもそも犯行を始めることができません。

高齢者の方にはご存じない方もいるかもしれませんが、現在の電話は全て、電話がかかってきた時に同時に相手の番号もわかるようになっています。つまり、呼出音が鳴っていてまだ電話に出ていない段階でも、その電話がどの番号からの電話かがわかります。

固定電話を使用されている方は(固定電話自体があまりお勧めできませんが)、電話帳機能が付いた画面付きの電話機を使用し、知人や日頃関係のある番号は全て電話帳に登録してしまいましょう。そうすれば、電話の着信と同時に、かけてきた相手の番号が電話帳機能に登録されている番号ならば、画面には電話帳機能で登録した名前が表示されます。結果、名前が画面に表示されず番号だけが表示される電話には出ないというシンプルな迷惑電話対策が可能になります。電話帳機能への登録方法がわからなければ、ショップや知人に相談して協力してもらいましょう。そして、今後は知っている番号からの電話にしか出ないという事も、周囲の方へ告知しておきましょう。

携帯電話も同様に電話帳機能があり、電話がかかってくると相手の番号や名前が画面に表示されますので、電話に出る出ないの判断ができます。知らない番号からの電話には出ず、無視を徹底することが大切です。

アポ電強盗を防ぐ初期段階として一番大事なことは、犯人からの電話に出ないということです。

相手が誰であっても電話では個人的なことは一切言わない

次に大事なのは、アポ電強盗(オレオレ詐欺も含む)に知りたい情報を渡さないことです。

犯人は電話を使い、効率的に犯行ターゲットを絞っています。ターゲットにされないために重要なのは個人情報を絶対に言わないことです。

世間でよく言われている詐欺電話として身内を名乗るが代表的ですが、それだけではありません。犯人は警察、銀行員、弁護士、役場の職員、医師や看護師、救急隊員などありとあらゆる名を語り、信用させようとします。また、電話の理由も事故を起こした、会社のお金に手を付けた、何かの賠償がある、経営資金が足りない、急病になった、公的な還付金がある、新元号に関する切替、口座の悪用があった、などなど、考えられる限りの理由を言い騙そうとします。

こういった一切の犯罪被害に遭わない方法は個人情報を電話では絶対に言わないと決めることです。

個人情報の例を以下に挙げますが、これを言わないだけで犯罪被害は大幅に減ります。逆に言うと、こういった情報を知るために犯罪者はそれらしい理由を付けて電話してくるわけです。

  • 名前
  • 住所
  • 年齢
  • 一日の行動
  • 所持金額
  • 使用している金融機関
  • クレジットカードやキャッシュカードの番号
  • あらゆる暗証番号

少し項目が多いのですが、是非覚えておいてください。

「名前」も個人情報だということは、電話に出るときも「はい◯◯です」はダメだということです。これからの時代は「はい、もしもし?」が正しい電話の出かたになります。

それでは少し例を挙げましょう。

(例1)相手が配送業者を名乗る
相手:お客様へのお荷物があるのですが、伝票が雨で滲んでしまって電話番号以外が読めません。申し訳ありませんがお名前とご住所をお教えいただけませんか?

(例2)相手が銀行員を名乗る
相手:◯◯銀行ですが、お客様の口座の暗証番号が盗まれました。至急口座を凍結する必要があります。盗まれた暗証番号がお客様のものか確認するために照合の必要があります。今すぐ口座を凍結するために、お客様のパスワードをおっしゃってください。

(例3)相手が弁護士を名乗る
相手:◯◯法律事務所の弁護士の◯◯です。昨日、息子様が◯◯の疑いで身柄を拘束され、◯◯拘置所で拘留されています。拘留中なので私が代理人となりますが、保釈金◯◯円を支払うことで保釈が可能です。息子様が希望されていますので、すぐに支払いをお願いします。

いかがですか?例を見ただけで、これまでならすぐに個人情報を言ってしまいそうではないですか?

私が軽く考えただけでも、すぐにこれくらいは思いつきましたし、時間さえかければいくらでも思いつきそうです。これが詐欺の集団ならば、さらに手の込んだ、信じてしまうような理由を考えついても不思議ではありません。

こういった詐欺電話の被害に遭わない一番の方法は「電話では個人情報を一切言わない」と決めることです。

しっかりと覚えておきましょう。

訪問者を家に入れない

どのような理由があろうとも、初対面の人を家に入れないことはとても大切です。初対面に関わらず、顔見知りでも素性の知れない相手なら同様です。

犯罪者を家に入れさえしなければ、強盗は成り立ちません。そしてアポ電強盗を想定する限り、犯人は何かと理由をつけて訪問し、玄関から入る可能性が高いと言えます。つまり、被害者が自ら強盗犯を招き入れる可能性が高いということです。(訪問者の危険性と正しい対処法については女性の一人暮らしや一人在宅時の危険を防ぐ5つの訪問者対応法でも詳しく解説しましたが、高齢者宅でも同じことが言えます。)

知っている人でない限り招き入れない、普段は必ずドアに施錠しておく、知らない人の応対はドアチェーンをしたまま対応する、ドアチェーンがない場合には設置を考える、知らない人を自宅に招き入れる場合には信頼できる第三者に同席をお願いする、などが大切なポイントです。

自宅への侵入を防ぐ事は強盗対策の基本です。そしてアポ電強盗の場合には事前に電話があることから、何かしらのそれらしい理由を信じ込ませ、自ら犯人を招き入れてしまう危険性が高く危険です。

知らない人は絶対に家に入れない。玄関も開けない。

これを徹底するだけで、強盗被害のリスクは大幅に軽減します。

携帯電話やスマートフォンを練習しておく

固定電話があってもなくても、この際携帯電話は持ち、利用するようにしましょう。

東京江東区で強盗殺人では、犯人は犯行前に電話線を切っています。自宅が固定電話だけなら、この段階で孤立無援です。助けを呼ぼうにも、110番通報しようにも、固定電話が使えません。

こういった場合に携帯電話があれば通報などが可能です。強盗犯も携帯電話の電波を切ることは出来ません。

以前なら固定電話が主電話であって、携帯電話は補助的な感覚でした。恐らく高齢者の皆さんは、今でもそういった感覚をお持ちなのではないでしょうか。しかし、現在では携帯電話を主電話として利用しても全く問題ないほど環境が行き届いています。強盗に電話線を切られてしまう、何かの災害で電話線が切れてしまう、そういったリスクを考えると、むしろ携帯電話のほうが固定電話よりも信頼性が高いと言えます。

携帯電話を使用し、できれば固定電話は解約しましょう。

現在の携帯電話は通報するだけで居場所も通知され、迅速に警察や救急車が通報場所に来ます。万一のときにすぐに110番や119番ができるように使い方を練習しておきましょう。防犯ブザーが付いている機種は、ブザーの鳴らし方も練習しておいてください。使い方は購入したショップに教えてもらうか、周囲の詳しい人に教えてもらいましょう。

最悪の場合を想定する

最悪の場合、強盗を家に招き入れてしまい、電話は固定電話しかなく、電話線は強盗に切断されていたとします。こういった場合にはもう為す術もなく、されるがままになっていいのでしょうか。

アポ電強盗では金品を奪うだけではなく、殺人まで起きています。

このような最後の最後に、生き残るための抵抗手段が一つだけあります。それが護身用品です。

護身用品とは、高齢者や女性など強盗と一対一ではおよそ太刀打ちできない方が、相手を撃退し、行動不能にし、逃げたり通報できる時間を確保できる唯一の道具です。

中でも催涙スプレーは高齢者の強盗対策には最適な護身用品で、殺虫剤のように相手の顔に噴射するだけで、相手は最低30分以上は目を開けられず犯行できなくなります。スプレーなので誰でも使用でき、特別な練習も必要ありません。

護身用品は消火器のようなものです。皆さん火事にはならないだろうから消火器はいらないと考えますか?万一の火事に備えて消火器を準備するものと思います。護身用品も同様に、万一に備えるものです。もし強盗に遭ったら、家に侵入されてしまい、通報も出来なければ、護身用品さえあれば最後に自分の命を守ることができるのです。

最後に

電話に出ない、電話には適切に対応する、家に招き入れない、すぐに通報するなど、段階を追って様々なアポ電強盗の対策があります。どれも重要な対策です。アポ電強盗の前段階で、正しい対処で強盗を防ぐことが最も大切です。是非今回の内容を読み返し、日頃の生活に活かしてください。

そして最終手段の催涙スプレーも、この際に検討することをお勧めします。

護身・防犯コラム

110番通報

110番通報(119番や118番も同じ)では、現在地をできるだけ正確に伝えることがとても大切です。

自宅や職場からの通報であれば、住所はすでに覚えているので問題ありません。

しかし、出先などでの110番通報は現在地がわからないという場合がほとんどのはずです。

私も交通事故で110番通報をしたことがありますが(相手の脇見による追突です)、通勤路だったので道路の名前も地名もスムーズに伝えることができました。そのとき、もしこれが旅行先だったら、海上だったら、どうやって現在地を伝えるのだろうと不安になりました。

そこで今回は、通報の際に有効な現在地の伝え方を調べてみましたので紹介します。

参考
110番 警察(事件・事故)
118番 海上保安庁(海上・河川)
119番 消防署(火事・病気・怪我)

現在地を伝える方法

110番通報をして警察に来て欲しいときは、今いる現在地をできるだけ正確に伝える必要があります。

現在地を伝えるには次の方法があります。

  1. スマートフォンで通報する
  2. 自動販売機の住所表示を確認する
  3. 道路標識
  4. 目印

順に詳しく見ていきましょう。

1.スマートフォンで通報する

スマートフォンには、ほとんどの機種にGPS機能が備わっています。

GPSとは地球上の現在地を正確に知ることができる仕組みです。

スマートフォンを始めとしたGPS機能を有する機器は、GPS衛星からの測位電波を受信し、常に今の現在地を把握しています。

スマートフォンから110番へ電話をかけると緊急通報位置通知(Wikipedia)という仕組みによって、通報と同時に現在地の座標データが通報先へ送信されます。

従って、スマートフォンで110番通報をすれば、今の場所がわからなくても警察や消防は瞬時に通報場所を把握してくれます。

煽り運転や連れ去りなど、今の場所が全くわからない場合でも心配ありません。まずは速やかに通報しましょう。

なお、この緊急通報位置通知が機能するには次の3つの条件があります。

  • GPS衛星からの電波をスマートフォンが受信できていること
  • 使用している携帯会社が緊急通報位置通知に対応していること
  • 通報する地域や機関が緊急通報位置通知受信システムを導入済みであること

GPS衛星からの電波をスマートフォンが受信できていること

GPS衛星の電波は地面や障害物を貫通しません。従って地下(トンネル、地下鉄、地下道)や、ビルが密集しているような場所では現在地を検知できない可能性があります。

こういった場合は次の手段として、緊急通報位置通知のシステムがスマートフォンが繋がっている携帯中継アンテナの場所などを特定します。しかし、それでは携帯中継アンテナの付近としか場所の特定は出来ないため、すぐにその場に駆け付けることは難しいということになります。

使用している携帯会社が緊急通報位置通知に対応していること

緊急通報位置通知は使用している携帯会社が対応しており、さらにスマートフォンが対応機種である必要があります。

把握している限りでは、以下の3社は対応しています。

上記以外の携帯会社を利用されている場合には、お持ちのスマートフォンで緊急通報位置通知が有効になっているのか、個別に携帯会社への確認をお勧めします。

通報する地域や機関が緊急通報位置通知受信システムを導入済みであること

110番と118番は既に全国で導入済みですが、119番については一部地域で導入されていないようです。

詳しくは緊急通報位置通知 受信システム導入済みの地域・機関(softbank)で確認出来ます。

以上のことから、ほとんどのスマートフォンユーザーは、通報時にスマートフォンがあれば、そのスマートフォンで通報すれば現在地を詳細に説明する必要はありません。

もし現在地を質問されたら、わかれば答えても良いでしょうし、わからなくても問題なく場所を把握してもらえます。

2.自動販売機の住所表示を確認する

もし近くに自動販売機があれば、自動販売機の住所表示ステッカーを見ればその住所がわかります。

このステッカーは緊急通報者が現在地の把握に役立つように貼られているものです(全国清涼飲料連合会)。

GPS電波が届きにくいビルの近くや地下街などではこの自販機の表示が役に立ちます。是非覚えておきましょう。

3.道路標識

通報場所の近くに信号のある交差点があれば、信号機の近くに交差点名の標識を探してください。交差点名は格好の目印です。◯◯という交差点から◯◯という目標(目印)に向かっておよそ◯◯mといった説明で十分です。

主要な道路や高速道路で見受けられるキロポストも現在地の説明に有効な方法です。道路上または道路沿いからの通報であれば、道路脇にキロポストがないか確認してください。キロポストはほとんどの場合、起点の地名と距離(キロ数)がセットになって表示されています。この表示を伝えれば、警察はすぐに場所を把握できます。

4.目印

目印があれば、それを目安にして今いる場所を伝えることができます。コンビニがあれば、◯◯(コンビ二名)の◯◯店の前などといった説明でも通じます。

目印を使って説明する方法は、スマートフォンのGPSも使えず、自動販売機も近くになく、道路のキロポストもないといった、場所を伝えるための情報が乏しいときの最後の手段です。こういった場合でもあきらめず、周囲を見回し、目に入ったものは全て説明するように努力しましょう。そのうちいくつかの情報から、通報対応の警察官が場所の特定をしてくれるかもしれません。

最後に

今回は110番、119番、118番通報をする際の、現在地の伝え方について解説しました。

とりあえず、GPS対応のスマートフォンで通報すれば、ほとんどの場合は現在地の説明には困らないはずです。しかし、GPSによる現在位置の通知が出来なかった時のことも考え、そのような場合でも出来るだけスムーズに通報できるよう日頃から現在地の把握の仕方を確認しておきましょう。

他にも有効な現在地の把握の仕方があるかもしれません。お気づきの方はコメント欄で指南いただければ幸いです。

護身・防犯コラム

煽り運転

煽り運転の被害が注目されています。

煽り運転被害はずっと以前から存在していましたが、こうして注目されるようになったのは恐らくいくつかの大きな事件がきっかけです。

その他にも事件やニュースに至らなかったものを含めると、煽り運転は星の数ほど発生しています。(煽り運転で動画を検索するとその多さに驚かされます。)

私(執筆者:KSP店長の白石)は10年以上に渡り様々な防犯や護身に関わってきました。真の防犯や護身は、机上の理屈やきれい事だけでは実現しません。現実的な思考と対策が必要です。今回は煽り運転の現状と対策方法についてプロの目線で現実的に考えてみます。

煽り運転が注目され始めた理由

煽り運転は実は以前から今と変わらず存在していました。私は30年の運転歴の間に、何度となく煽り運転をされたことがあります。最悪の場合には深夜に数キロも追い回され、信号では相手が降りてきてドアを叩かれたこともあります。

ではなぜ近年ここまで煽り運転が注目されるようになったのか。それは、先ほど挙げた大きな事件もありますが、なんといってもドライブレコーダーとスマートフォンの普及が大きな要因です。

最近の車を見ていると、本当にドライブレコーダーの装着車両が増えました。私の車も当然ながらドライブレコーダーを装着しています。よく見かけるのは前方のガラスに固定しているタイプですね。

▲私の車に装着しているドライブレコーダー

ドライブレコーダーは車に乗っている間(エンジンが掛かっている間)は、防犯カメラのように常に録画をしています。本来は事故などの際に信号機の色や周囲の状況などを記録するためのものですが、常に録画しているということから煽り運転された場合にもその証拠が録画として記録されるわけです。また、ドライブレコーダーがなくても、同乗者がいれば同乗者がスマートフォンで動画を撮影したりできます。

さらに現在は、ブログやホームページを運営していなくてもSNSで動画を簡単にシェアできます。そのため事故未満の煽り運転であってもインターネットで数多く公開されるようになりました。インターネットのこうした変化も、身近な出来事を共有する手段として役立ち、煽り運転がより広く認識されるようになってきた理由です。

煽り運転の現実的な対処方法

煽り運転と言っても段階とタイプがあります。

そしてそれぞれのパターンにおいてまずは回避を試みることが大切です。うまく回避をすれば深刻なトラブルに発展する前に被害を防ぐことが出来る可能性があります。

煽られるきっかけを摘む

煽り運転をする人は怒りっぽい性格だったり、短気や自分勝手、わがままなど性格に問題があるのかもしれません。しかし特別な異常者を除けば、そういった人達も普段から常に怒っているわけではないと考えます。恐らくこれらの人達が煽り運転をしてしまうのには相応の理由があるはずです。(高速道路で停車させたり、暴力を振るう人は論外の異常者です。ここで言う「相応の理由」というのは決して煽り運転の加害者を擁護する意味ではありません。しかし加害者の心理を読み、回避方法を考えることは防犯上とても大切です。)このような理由を普段の運転中によく考えながら、相手が怒る原因を未然に摘み取ることはとても大切です。

例えば駐車場から道路に出るとき、合流地点で本線に合流するとき、車線変更をするとき、こちらは大丈夫と思って流れに合流したとしても相手にとっては無理な割り込みだと感じる場合があるでしょう。また、登坂車線がある上り坂でスピードが十分に出せないにも関わらず後続車に道を譲らなかったり、追い越し車線(右側車線)を走行車線(左側車線)の車と同じかそれ以下のスピードで延々と走っていたら、後続車はどう感じるのか。

このように意識的でも無意識でも、自ら煽られるきっかけを作らないことが大切です。煽り運転はあってはならないものですし、煽られればそれは被害者で、煽る側に非があります。しかし道路はみんなのものです。ちょっとした気遣いで煽り運転被害を未然に防ぎ、皆が気持ちよく道路を利用できればそれが一番です。

例えば車線への割り込みが少し無理がありそうだと思えば、割り込む前に相手の顔をしっかり見て深く会釈をするだけで相手の心象はずっと違うものになるでしょう。余裕があれば軽く手も挙げると良いかもしれません。

例えば追い越し車線を走行中は常にミラーで背後に気を配り(追い越し車線は追い越すために走行するのですから当然ですね)、もっと速い車が追いついてきた場合にはすぐに車線を譲る。走行車線に車がいて車線を譲れない場合であっても、左ウインカーを出しながら走行すれば後続車にも車線を譲る意志が伝わり、譲るまで時間がかかっても嫌な思いをせず余裕をもって待ってくれるはずです。

普段の運転から周囲のドライバーに気を配り、礼儀をわきまえ誠意を持って行動するだけで防げる煽り運転もあります。煽り運転は他の犯罪事件と同じで、未然に危険を察知して適切に行動することが被害を防ぐ第一歩です。

後方からの煽り運転

【状況】
恐らく最も多いケースで、後方の車両が無理に後方から車間距離を詰めてきて威圧したり、蛇行やパッシング、クラクションを鳴らすなどをして煽ります。

【回避方法】
とにかく早い段階で道を譲りましょう。譲れば済む場合もありますので、まずは道を譲ってみることが大切です。相手が追い越しながら睨んできたり、追い越しざまに併走してくる可能性もあります。そのような場合には相手の気を静めるために会釈したり手を挙げたりして場の収拾を図りましょう。

前方からの煽り運転

【状況】
前方の車が明らかな嫌がらせとして急ブレーキを繰り返したり、蛇行したり、場合によっては停車して道を塞ぎます。

【回避方法】
前方からの煽り運転は後方からのものよりも危険性が高いと言えます。相手は走り去ることが出来るにも関わらず執拗に煽り行為をしてくるからです。このような場合には、十分な車間距離をあけるとともに、道路脇に避難できる施設などがないか探しましょう。同乗者がいれば走行中であってもすぐに110番通報を行ってください。電話機の音声コントロールが可能なら、走行中であっても運転者が110通報をしましょう。

ドアの施錠と窓閉め

煽られている状況に陥ったら、ドアを全て施錠し窓は全て閉めてください。

車のドアは施錠をすれば絶対に開きませんし、窓は強化ガラスなので簡単に割れるようなものではありません。施錠されて窓が閉まった車の中にいるだけで、まずは最低限の安全を確保できたと考えて良いでしょう。

ドアの施錠は煽り運転の対策だけでなく停車中の強盗対策にも有効です。

車に乗ったら施錠する。これは自動車の防犯対策の鉄則です。

運転中の対処法

煽り運転の主な行為は、異常な車間距離で背後から迫る、横に並び接近する幅寄せ、前方からの急ブレーキ、パッシングやクラクション、窓を開けてからの罵声などです。

こういった行為は、される側にとっては尋常ではない恐怖感と焦燥感を感じます。

こういった場合に有効な手段は次の通りです。

警察署や交番に駆け込む

最寄りの警察署や交番に駆け込むのが最も確実な対処法です。

例えどのような理由があったとしても、煽り運転は許されるものではないし、それは煽っている側もわかっています。

煽り運転をされていると感じたら、最寄りの警察署や交番に行きましょう。警察署や交番の前に停車すれば、相手は必ず諦めます。

こういった万一に備え、普段行動する範囲の警察署や交番の場所は、事前に把握しておくとことをお勧めします。

警察署や交番の場所がわからないといった場合にはスマートフォンやカーナビを活用する方法もあります。

例えばiPhoneの場合なら、以下の手順でスマートフォンに触らなくても声で指示するだけでナビゲーションを開始します。

– iPhoneの音声操作で近くの交番を探す方法 –

「ヘイ、シリ」

「近くの交番に案内して」

「案内して」

Androidでも同様の機能があったはずです。

スマートフォンなら運転中に画面を見たり、スマートフォンに触れなくても、音声で目的地を検索してナビゲーションを開始できます。いざという時のために普段からこういった活用方法も練習しておきましょう。

スマートフォンがなく、警察署や交番の場所もわからないといった場合は、とにかく賑やかなエリアや駅に向かいましょう。そういったエリアには必ず交番が点在するはずです。

110番通報をする

運転中であっても、音声でスマートフォンに指示して110番通報ができます。110番が繋がれば、警察は通報者の現在位置を瞬時に把握します。移動している車であっても同様です。警察に場所を知ってもらっているというだけで安心感が違いますし、場合によってはすぐに付近のパトカーを急行させるはずです。

運転中なのでスマートフォンはスピーカーにして手には持たず、110番をして状況を伝え、指示を仰ぎましょう。

また、こういった場合に備え、音声でのスマートフォンの操作方法も練習しておきましょう。

– iPhoneの音声操作で110番通報する方法 –

「ヘイ、シリ」

「110番に電話して」

人の多い場所に避難

コンビニや飲食店など、人が多いところに非難すれば、人がいない場所よりも安全かもしれません。

とはいえ、あなたのトラブルを誰かが積極的に助けてくれるという期待は持たないほうが賢明です。実際にコンビニで停車し、その後口論が発展して刺傷事件に発展したケースもあります。

「あおられた」男性刺殺未遂で男を逮捕 相模原

人が多い場所は、人が少ない場所よりも安全という程度で認識しておくべきです。相手の性格や興奮状態によっては効果がないこともあるので覚えておいてください。

高速道路では料金所へ

高速道路で煽られた場合、まず絶対に路上で停車しないことが大切です。

高速道路では一般道と違い、路上で停車している車が存在しないことを前提に皆が運転しています。こういった中で停車表示もないまま車道で停車すると、大きな事故に発展しかねません。

高速道路では路上には絶対に停車せず、煽り行為が続くようなら近くの料金所に向かいましょう。料金所には必ず人がいますし、大きな料金所なら警察もいる場合があります。料金所ではETCゲートを使用せず、人がいるゲートで停車して状況を伝えましょう。必ず助けてくれるはずです。

自宅や知人宅に逃げ込むのはNG

あまりの恐怖感で、自宅や知人宅に逃げ込みたくなるかもしれません。

しかしそういった場所に逃げ込んだり、向かうのは避けたほうが賢明です。相手に生活の場所が知られてしまうと、さらなるトラブルに見舞われるかもしれませんし、知られたという事実で、以降も安心した生活が送れなくなる可能性があります。

煽り運転をされたら、自宅へ向かっていたとしても帰宅は一旦やめて、警察署や交番へ向かうようにしましょう。また、警察署や交番がわからなければ、出来るだけ人が多く住んでいる方角や、駅の方角に向かいましょう。そのほうが警察署や交番が多いはずです。

停車後の対処法

前に割り込んで停車させられたり、信号や渋滞で停車した場合、激高した相手が降りてきて、怒鳴ってきたりドアやガラスを叩いてきたりするかもしれません。

こういった場合は、絶対にドアや窓を開けてはいけません。ドアは全て施錠した上で、窓は全部閉めておいてください。車のドアは施錠されていればそう簡単に開くものではありません。窓も、車のガラスは非常に強度があるので、手で割れるようなものではありません。まずはドアを全て施錠し、窓を全部閉めて、最低限の身の安全を確保してください。

安全の確保が終わったら、すぐに110番通報をしてください。警察が通報から駆け付けるまでには長くて15分ほど、場所によっては20分以上かかるかもしれませんが、その間は何をされても相手にせず、一番安全な車内に留まることが大切です。→覚えておきたい110番通報時に現在地を伝える4つの方法

ドライブレコーダーは必要か

ドライブレコーダーは防犯カメラと同様に、その場の状況を動画として記録できるものです。

ドライブレコーダーは煽り運転の証拠を残すことは出来ますが、煽り運転をされているその場で自分を守ってくれるものではありません。

そういった意味で、煽り運転から身を守るためにドライブレコーダーが役に立つとは言えませんが、後々に被害届けを出したり、煽り運転の事実関係を争うような事になれば、記録映像はとても役に立つでしょう。

また、本来の目的は事故の状況の記録なので、一般的なドライブレコーダーは前方しか記録できません。煽り運転の場合には、後方や横から煽られる場合もあり、そういった場面では前方撮影のドライブレコーダーでは思ったように記録が残りません。煽り運転を意識してドライブレコーダーを装着するなら、前後左右の周囲360°を記録できるドライブレコーダーもあったはずなので、よく探してみてください。

なお、交通事故などでは前方の信号の色や、事故前後の前方の状況などは非常に重要な証拠となります。煽り運転の対策だけでなく、万一の事故で理不尽に不利になるリスクを避けるためにも、ドライブレコーダーは装着しておくことを強くお勧めします。

相手を撃退しなければならない場合

全てのドアを施錠し、窓を全て閉めたとしても完全に安全ではありません。

煽ってきた相手は薬物を使用していたり、飲酒で興奮状態になっていたりして錯乱状態にあるかもしれず、いくら丈夫な車の窓ガラスであっても石やブロック、固い棒、ハンマーなどを使えばいとも簡単に割れてしまいます。

例え停車してすぐに110番通報をしていたとしても、パトカーが到着するまでには一般的には15分、長い時は20分以上かかります。

その間は、自分や同乗者の安全は自分で守るしかありません。

窓を割られた場合、相手とは手を伸ばせば届くほどの至近距離だし、車の車内であることが逆効果となり逃げることが出来ません。窓を割るくらいなので、当然相手も正常ではないと考えるべきです。

こういった場合に、相手を撃退するには護身用品を使用する以外に方法はありません。

可能性は限りなく低くとも、実際に起こりうるケースです。

もしもそういった危機的状況に陥れば、無防備なのか、自衛手段があるのかでは天地の差です。

最悪の場合を想定し、未然に備えることも確実に身を守るためには大切なことです。

最後に

今回は、煽り運転の対処法として現実的にどうのような方法があるのかを解説しました。

いわれのない理由での突然の煽り運転は、だれでも恐怖感からパニックになるものだと思います。パニックになる前に、今回の対処法を思い出し、可能な限りの対処をして身の安全を確保しましょう。

まずは煽り運転被害に遭わないように周囲に礼儀をもって円滑な運転を心掛ける。それでも煽り運転の被害に遭ったら慌てず焦らず車のドアを全て施錠し、窓を閉め、交番に駆け込むか110番通報をする。

これが現在のベストな煽り運転対処方法です。

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スマートフォンで110番

2023/09/22更新

全国共通で使用でき、自動的に管轄の警察署へ通報できる「110番アプリシステム」が運用開始されていました。
詳しくは警視庁の「110番アプリシステム」についてをご覧ください。

このアプリの運用開始に伴い、本記事で紹介したメール等による通報システムは県警単位で順次サービスを停止していく模様です。
それにしてもアプリをダウンロードして、まずは事前登録をしないと使えないといういまいちな仕様は相変わらずです。電話では問答無用に受け付ける通報を、なぜアプリの時は条件を課すのか。相変わらず警察のすることは謎が多いですね。。
アプリで110番をする可能性のある方は、早めにアプリをインストールし、事前登録を済ませておきましょう。

護身や防犯の基本は、まずは目の前の危険に緊急対処することです。

そして、次に大切なのは警察への110番通報です。

110番通報は110番に電話をかけて状況や場所を伝えるという方法が常識ですが、あまりにも常識すぎて他の方法を考える機会は少ないのではないでしょうか。

全ての方が通話で110番通報できれば良いのですが、実際にはDV被害や連れ回しなどで加害者がすぐ近くにいる場合など、音声では通報が出来ない状況も考えられます。

気になったので調べてみると、そのような場合に利用できる通話以外の110番通報の方法が存在しました。

今回はその中でもスマートフォンを活用した通報の方法を紹介します。

チャットや文字入力で110番通報

都道府県によっては、チャットや文字入力で110番通報ができる仕組みを導入している県警があります。

実際に数カ所の県警ページを確認すると、現在のところ仕組みや使い方がバラバラではありますが、県警単位でしっかりと運用されているようです。

例えば神奈川県警では文字対話方式メール110番という仕組みが運用されています。

例:神奈川県警察メール110番システム・FAX110番

いくつかの県警を確認してみましたが、県警単位での運用で、利用しにくそうではあります。

主な特徴はこのようになっていました。

  • 聴覚に障害があったり、声の出せない状況に限って利用可能。
  • 県警単位で独自に行っているので県が変わると使い方が全然違う。
  • 県内の通報しか受け付けないため、他県ではその県警ページを検索し、利用方法を一から調べなければならない。
  • 現在住所の入力を必須としている県警がある。(現在住所を細かく入力しないと通報画面に進めない。現在位置の住所がわからなければ通報できない。)

このように、あまり使い勝手の良い状況ではありませんが、各県警では電話による通話の110通報以外にも、スマートフォンやガラケーを利用した文字による110番通報を受け付けています。

各都道府県警察の文字による110番通報受付ページは、この記事の文末にリンク一覧を掲載していますので参考にしてください。

DVなどで音声通話では110番ができないといった可能性も考えられる方は、早めにお住まいの都道府県警の文字による110番通報の受付状況を調べ、利用方法を確認しておきましょう。

可能ならスマートフォンのお気に入りに登録するなどの準備をしておくことをお勧めします。

東京都限定 警視庁110番サイト通報アプリ

東京都では他県に先駆けて警視庁110番サイト通報アプリを公開しており、iPhoneやAndroidでの利用が可能です。

このアプリを入れておけば、アプリからすぐに110番通報ができ、LINEのようなチャットで対応してくれるようです。いちいちブラウザを開かなくてもいいところが良いですね。

このアプリは2019年には全国の都道府県警に対応させるという情報もあります。現在の電話による110番通報のように、今いる都道府県などを気にせず一つのアプリで110番通報できれば理想的です。

是非とも一日も早い全国対応を望みます。

東京都:警視庁110番サイト

万一に備えて知っていて損はない

現在DV被害などに遭っていなくとも、声による110番通報ができない状況におかれる可能性はゼロではありません。

こういった場合に役立つ文字による110番の仕組みは、万が一に備えて知っていても損はありません。

また、身近にそういう状況に置かれている人や、置かれる可能性がある人がいる場合は、是非今回紹介した文字による110番通報も存在するということを教えてあげてください。

現在は各都道府県が個別に作ったシステムで、とても利用しにくい仕組みではありますが、近い将来には一つのアプリで簡単に文字で通報できるようになるはずです。

110番通報システムの最新情報にも常に注目しておきましょう。

各都道府県警の文字110番案内ページ

全ての都道府県警察のメール110番を調べて感じたのは、聴覚障害者に限定している都道府県が予想以上に多いという事です。

DVなどで会話が困難な状況での通報もあり得るはずなのに、それをあっさり切り捨てるこの考え方。ザ・お役所とでも言うべきでしょうか。

もし実際にメールなどで110番する必要に迫られたら、障害の有無に関わらず利用するようにしてください。ルールよりも命のほうが大切です。

それにしても、子どもが作ったようなひどいページも散見され、仕組みも使い方も説明の分かり易さもバラバラで、各県警の足並みの揃わなさには恐れ入りました。

ネットで調べる情報なのに、メールアドレスがクリックできないような構造的な欠陥もありました。通報者はまずメールアドレスをコピーしてから、メールアプリで宛先に貼り付ける?有事の際の110番通報なのに、その作業をさせるなど正気なのかと目を疑います。

通報用独自ドメインで運用している県警も複数見られます。こういった通報は住所など個人情報も入力するため、ページが本物の警察のページなのか、ニセの騙しページなのかの見極めが重要です。警察の公式ページのドメイン下にしっかり構築しておかいと、安易に専用ドメインを作られても、利用する側からしたらそのページが本物の警察が運用するページか判断つきません。

ページのURLがセキュアでない県警も複数。URLの先頭がhttpで始まるものです。いまやネットセキュリティの常識であるhttps(SSL暗号化通信)になっていない。つまり通信内容の安全が守られていない。警察ともあろう組織がこれはひどい。

メールなどインターネットを利用して110番したければ、まずは警察署に電話してねっていう県警もあり。。電話が出来ないからメールじゃないの?とツッコみたくなりました。これって県警本部長さんの性格がそのまま出てるんですかね。全くひどいものです。

総括として、現状では通話による110番の代わりになるとは言えないものも相当数あります。

一日も早い全国共通で使える110番アプリの運用開始を切望します。(この県警ごとのバラバラはもうヤダ。。)

護身・防犯コラム

人間、出会いもあれば別れもあるわけで。

そんな中でも、特にお付き合いのお別れや離婚など男女の別れは、その別れ方が安全面においてもとても大事になります。

これは日頃からよく思っている事なのですが、まずい別れ方や強引な別れ方は、後々問題に発展する可能性があります。あまにも強引で理不尽だったりすると、それがストーカーを生む原因になったり、ニュースになるような事件に発展したり。。

例えばこの事件もそうです。

別れ話が原因で放火 24歳女を逮捕 荒川区

マンション火災は、別れ話が原因の放火だった。

青山佳那容疑者(24)は、30日午後2時半ごろ、東京・荒川区の自宅マンションで、衣服に火をつけた疑いが持たれていて、部屋など、あわせておよそ40平方メートルが焼失した。

青山容疑者は、「同居している男性と別れ話でケンカになり、迷惑をかけて死のうと思った」と容疑を認めている。

青山容疑者は、外出した男性に「これから火をつける」と電話していて、慌てて帰宅した男性ら2人が軽症を負った。

Yahoo!ニュース

この事件では、女性は別れ話をされて、別れたかったのか別れたくなかったのかはともかく、逆上して自暴自棄になったということでしょう。

一度でもお付き合いしたのなら、相手の性格などある程度はわかるものだと思います。

別れたいとしても、相手がすぐにキレたり逆上したり、自暴自棄になると放火までしかねない。そいういった激高型の相手なら、それだけ慎重に、しっかりと話し合ってお別れするのが正しい方法ではないでしょうか。

もちろんケンカしたから、傷ついたから(今回の事件では傷ついたのかはわかりませんが)、放火していい理由にはなりません。放火は重罪です。無差別殺人と変わらない凶悪事件です。

事の結果としての放火を見れば、悪いのは明らかに女性のほうです。

しかし、そこに至るまでに、別れ話をする時に、もう少し慎重にできなかったのかなと思えてしまいます。

相手を嫌いになったから、好きな人が出来たから、などなど、お別れする理由は様々だと思います。

急なお別れ、強引なお別れ、突然の無視、音信不通などをしてしまうと、相手が逆上したり逆恨みをしたりといった余計なトラブルを抱えることになりかねません。

もうお別れするのは決定だとしても、相手も人間だし、多少なりとも同じ時間を過ごしてきた相手です。最後はしっかりと冷静さと思いやりを持って、納得いくまでとことん話をして、穏やかにお別れして欲しいものです。

護身・防犯コラム

女性の一人暮らしで訪問者の危険を防ぐ方法

自宅は安全だと安心している女性も多いのではないでしょうか。特に一人暮らしの女性や、一人で過ごす時間が多い女性にとっては、自宅にいる間が一番安心で落ち着くものだと思います。

こういった中において、自宅にいたとしても一人だからこそ起こりうる危険があります。

それは訪問者です。

このページでは女性の一人暮らしや、同居者がいたとしても女性が一人になっている時間帯に、自ら招き入れる訪問者の危険性について実例を交えながら解説します。

自宅は完全に安全だ、危険はない、と思っている女性は是非読んでください。

実際の事件

まずは、実際に起こった事件をひとつ紹介します。

この事件では、被害者の女性が水道トラブルの修理業者に襲われました。

工事後に性的暴行か 男を逮捕

30日、水道工事で訪れた寒川町の住宅で、この家に住む女性に性的な暴行をしたとして、28歳の男が県警に逮捕されました。

強制性交の疑いで逮捕されたのは、小田原市の自営業、羽深綾容疑者です。

羽深容疑者は30日午後1時頃から2時頃までの間に、寒川町の住宅で、この家に住む46歳の女性に性的な暴行を加えた疑いが持たれています。

県警によりますと、羽深容疑者は、台所の水道の詰まりを直すための作業員として女性の家を訪れていて、作業が終わった後、暴行したということです。

県警の調べに対し羽深容疑者は「行為をしたことは間違いない」と話している一方で、「同意の上だった」とも供述しているということで、県警が事件の経緯を詳しく調べています。

Yahoo!ニュース

この事件はまだ詳細の経緯がはっきりしておらず、特に同意の上だったのかどうかという点が争点になりそうです。

しかし、女性の自宅における危険という意味においては、この事件の同意性の有無は問題ではありません。

この事件で注目すべきは、被害者が加害者を自ら家に招き入れているという点と、自宅で一人の時に襲われると抵抗が困難という点です。

そして、こういった女性が自ら第三者を家に招き入れるというケースは、決して少なくないという事実です。

女性が自ら招き入れる訪問者

女性が自ら第三者を家に招き入れるケースが少なくないと言いましたが、実際の生活の上では例えばどういったケースがあるのでしょうか。

具体的には次のようなケースが、第三者を自ら招き入れる結果となります。

  • 修理業者
  • 何かの点検業者
  • 宅配業者
  • デリバリー業者
  • 引越挨拶
  • 勧誘・訪問販売

普段の生活で当たり前のようにあり得ることです。誰でもいつくかの経験はあるのではないでしょうか。

具体的に招き入れる理由を考えてみましょう。(玄関であっても、玄関ドアの内側へ招き入れた時点で家に招き入れたことになります。)

修理業者

上で事例を示した自宅の生活インフラの故障(電気・上水道・下水道・ガス)を始め、トイレの故障、家電製品の故障、パソコンやインターネットの修理など。

家に招き入れないと修理が出来ません。

宅配業者

郵便、宅配便、配達設置業者です。宅配便では郵便、ヤマト運輸、佐川急便などが有名ですが、現在では個人経営レベルの無名の配送業者も星の数ほど存在し、大手の下請けとして配達をしています。

家に招き入れなければ受け取れない荷物もあります。

デリバリー業者

デリバリー業者は宅配ピザが代表例です。また、コンビニも宅配を始めました。

家に招き入れなければ受け取れません。

引越挨拶

近所へ越してきたという理由で挨拶にくる場合です。

失礼のないようにと、ついつい玄関に招き入れてしまう可能性があります。

点検業者

実際に電気や保安機器の点検や、訪問販売に近いのですが予告なく点検を口実に訪問してくる業者も存在します。

理由によってはつい家に招き入れてしまう可能性があります。

勧誘・訪問販売

勧誘電話で事前にアポイントをとったり、突然訪問してきたりして、お得だ、期間限定だ、数量限定だなどと理由をつけ商品を売り込む業者です。

事前のアポイント電話などでつい心を許し、家に招き入れてしまう可能性があります。

招き入れることがなぜ危険なのか

どんな業者であっても知らない赤の他人です。いい人のように見えても実際はどんな人なのかわからず危険です。これは極端な話、警察官を名乗っていても同じです。

制服や帽子では本物の業者かわからない

あらゆる業種の制服や帽子は、すでに簡単に複製可能と考えたほうが無難です。知っている、なんとなく見たことがある服装だからと気を許すのは早計です。ニセ者かもしれません。

過去にはニセの制服を着た宅配業者が、ニセの代金引換伝票を持ち、空の箱を届けて代金を受け取る詐欺事件も発生しています。また、警察官に似た制服や、実物を模した装備品はインターネットでは簡単に入手できます。普段からよほど警察官を注意深く観察していなければ、ニセの警察官が訪問してきてもそれとは気が付かないでしょう。

何かのフリをするニセ者は、犯罪の世界では少なくありません。

本物の業者であっても安全とは言えない

冒頭で紹介した事件では、実際に本物の業者が訪れ、実際に修理を行っています。本物の業者だから安心と言えない事実がそこにあります。

過去には本物警察官であっても、被疑者の女性を脅して関係を持ったという事件も起きています。本物だから安心できるという根拠はどこにもないということです。

では、こういった訪問者から女性が身を守るための正しい対処方法は、どういったものがあるのでしょうか。

危険を防ぐ訪問者への対応方法5つ

女性が一人で家にいるとき、完璧に身を守り、危険を避ける唯一の方法はだれも家に入れないことです。

しかし、それでは生活が成り立たないということも考えられます。

以下の方法を実践すれば、日常生活への支障を最小限にしながら、訪問者に安全に対処できます。

  • 絶対に一人の時には玄関を開けない
  • 招き入れる前に相談
  • ドアチェーンを外さない
  • 友人や家族に同席してもらう
  • 宅配ボックスをフル活用する

具体的に説明しましょう。

絶対に一人の時には玄関を開けない

これは絶対に忘れてはならない大原則です。

玄関を開けるという意味は、玄関チェーンを外し、ドアを開ける行為、すなわち人が入って来れる状態という意味です。

玄関さえ施錠していれば、又は玄関を開けたとしてもチェーンロックをかけていれば、家の中にいるかぎり女性は絶対に安全です。しかし一旦玄関を開けてしまうと、その途端に様々な危険のリスクが発生します。

自宅での自分の安全を完璧に維持したければ、玄関は絶対に開けないことです。

ドアチェーンを外さない

やむを得ず玄関を開ける時でも、まずは必ずドアチェーンを付けたまま開けるべきです。ドアチェーンさえしていれば、訪問者に家に入り込まれる心配はありません。

どうしてもといった合理的な理由がない限り、絶対にドアチェーンは外さないことを徹底してください。そして、普段から玄関の施錠とドアチェーンはセットで行うようにしてください。

例えば封筒程度の郵便書留や、小さな荷物などの受け取りなら、ドアチェーンをかけたまま開けた玄関のドアの隙間でも十分にやりとりが可能です。相手にとって失礼かもと心配する必要はありません。何よりも優先すべきは自分自身の安全であり、危険リスクを減らすことです。

可能な限りの訪問者の対応はドアチェーンを外さないようにしてください。

招き入れる前に相談

これは訪問販売や訪問式の修理点検業者に多いパターンですが、いかにもそれらしい理由を付け、家に入ろう、そして説得して販売しようとする業者がいます。物の販売だったり、家の修理やメンテナンスだったり、理由は様々です。彼らは言葉が上手いので、ついつい信じてしまうケースもあります。

こういった状況では、訪問を許す、家に招き入れる前に親や頼れる友人などに相談することが大切です。相談を受けた人は、きっとあなたのことを思い、その訪問者について冷静な意見をしてくれるものと思います。

不必要な業者は訪問を許可しない、突然の訪問なら日を改めてもらってから信頼のおける人に相談する。これが訪問者から身を守ることにもなるし、詐欺被害などを未然に防ぐことにも繋がります。日を改めることに難色を示す業者は、そもそも何かの成績を急いでいます。脅したり、不安を煽ってきたりして訪問を急ぐような業者ははなから相手にしないことも大切です。

普段から、誰かを家に招き入れるという行為がどれだけ危険なのかをしっかりと理解しておきましょう。

家族や友人に同席してもらう

必要に応じて業者を家に招き入れざるを得ない場合も当然あります。

こういった場合には、遠慮せず家族や友人に同席をお願いしましょう。たった一人の友人がその場に同席してくれるだけで、安全性は飛躍的に高まります。

もし万が一襲われたとしても、もう一人が助けたり、通報したり、周囲に助けを求めることができるからです。そして、そのリスクを犯罪者も十分に理解しているため、犯行の大きな障壁になります。

あなたが犯罪の被害に遭うことは、あなたの周囲に人は誰一人望んでいません。だから、訪問者がある場合には絶対に一人で対応せず、信頼のおける誰かに同席を求めましょう。求められた人も決して嫌な顔はしないはずです。

宅配ボックスをフル活用する

宅配ボックスがある環境なら、積極的に宅配ボックスを活用しましょう。宅配ボックスを利用すれば、配送業者を自宅に招き入れる必要がなくなります。また、顔も見られないため、予期せぬストーカーの発生も未然に防ぐことができます。(ストーカーについては、宅配業者であっても油断は禁物です。)

宅配ボックスで受け取り可能な荷物は、全て宅配ボックスに配達するように指定しておきましょう。何かの通販などでも、送り先指定時に「宅配ボックスへ」と追記するだけで、宅配ボックスに配達してもらえます。

普通に配達があった場合でも、インターホンや玄関越しに「宅配ボックスに入れておいてください」とお願いすれば、宅配業者は嫌な顔せず宅配ボックスに入れてくれます。同時に、先でも触れたように宅配業者がニセ者だった場合には、その時点で犯行を諦めるでしょう。

宅配ボックスは、宅配業者の配達効率化ばかりに論点がいきがちですが、実際には防犯面でも非常に有効です。

宅配ボックスがある環境では積極的に活用し、宅配ボックスがない戸建てなどに住んでいる場合には、宅配ボックスの設置も検討しましょう。

また、いつも利用する駅や公共機関に誰もが利用できる宅配ボックスサービスがあるかもしれません。そういったサービスも是非利用を検討しましょう。

最後に

ここまで、女性が一人でいる場合の自宅において、現実的に頻繁に起こりうる「訪問者という危険リスク」に対して、女性が身を守るためにどう向き合えば良いのかを説明してきました。

説明の中には、あまりにも極端だと思う部分もあったかもしれません。

しかし、犯罪者というものは時にはずる賢く、時には自暴自棄に、自分の欲求と都合だけで犯行に及びます。そういった被害を未然に防ぐためには、今回説明したような日頃の注意がなくてはなりません。

一番安全であるはずの自宅だから、女性は一人でも安心してくつろげます。そこを逆手にとる訪問者の犯行は、決して絵空事ではなく現実として起こりえるものです。

女性の皆様は、自宅では玄関の開け閉めが一番危険であるということを十分に理解し、安全安心な生活を過ごしてください。

護身・防犯コラム

さいたま市で22歳女性が25歳の男性に首を切りつけられて死亡する事件がありました。

まだ詳細はわかりませんが、恐らくストーカー絡みの事件と思われます。

女性が首切りつけられ死亡 25歳の男を殺人容疑で逮捕 さいたま

2019年1月23日

23日午後5時55分ごろ、さいたま市大宮区宮町2のビル5階の通路で、埼玉県春日部市、会社員、金井貴美香さん(22)が男に包丁で首などを切りつけられた。金井さんは病院に搬送されたが約1時間後に死亡が確認された。県警大宮署は前橋市、自称同市職員、鳥山裕哉容疑者(25)を殺人未遂容疑で現行犯逮捕し、容疑を殺人に切り替えて調べる。

同署によると、鳥山容疑者は「首を刃物で刺したことは間違いない」と容疑を認めている。金井さんは、このビルに入る会社の従業員で、2人は顔見知りとみられる。春日部署には金井さん側から鳥山容疑者についての相談が寄せられており、同署は「女性やご家族の意向を踏まえ、状況に応じて対応していた」と話している。

現場付近を通りかかった50代の女性は「午後6時半ごろ、ビルの前にパトカーと救急車が来て物々しい雰囲気だった。誰かが担架で運ばれた後、ジャケット姿のサラリーマン風の男性が警察官に連れられていった」と話した。現場はJR大宮駅北東約300メートルの繁華街。

毎日新聞

記事によると、被害者の女性は警察に相談していたそうです。恐らくストーカー被害か、それに近いような恐怖を感じていてたのではと推測されます。

これまも、被害者やご家族が警察に相談していたにも関わらず、警察が防ぎきれなかったストーカー殺人事件はありますし、当店のお客様においても実際にストーカーの被害に遭い、警察に相談したが相手にされなかったというケースも少なくありません。

警察の立場から考えると、ストーカーの相談にしても取るに足らないというケースもあるとは思います。限られた人員で、優先順位を決めながら職務にあたっていかなければならないという事情もあることでしょう。

それでもこのような事件が起きれば、警察の落ち度でもあることは疑いようがありません。警察はストーカー殺人事件を防がなければならない責任があり、防ぐための対策を実施することができ、そして事件の前からストーカー被害を知っているわけですし、何よりも警察は国民を守る義務があります。

今回の事件を見てもわかりますが、警察は万能ではありません。ストーカー被害の相談をしても、多くの場合は周辺のパトロールを増やしますとか、何か進展があったらまた来てくださいとか、そのレベルの対応です。

ストーカーの対策では、まずは相手との平和的な話し合いと、お互いに納得できる終わらせ方が基本です。しかし相手の異常性や固執性などから、そうもいかない場合があります。ある程度被害が進み、少しでも恐怖を感じてきたら警察に相談しておくべきですが、それで万事解決ということにはならない点に注意が必要です。

警察に相談したからと言って、警察が職場や自宅や通勤・通学路を24時間監視してくれるはずもありません。パトロールが増えたからと言ってずっとパトカーが表に止まっているわけではありませんし、警察の目が届かない時間や場所は沢山あるどころか、日常のほとんどの時間は警察の影響外となります。

こういった場合、万が一の時にその場で自分の命を守る手段として護身用品はとても大切です。もし襲われた場合、すぐに110番をしても警察が駆け付けるまで短くても10分以上かかります。過去に私が通報したときは、急ぎと言ったにも関わらず15分かかりました。この10〜15分間がまさに生死を分ける、相手と一対一になる時間であり、自分たった一人で自分を守らなければならない時間です。

今回の事件は、相手がどのようなタイミングでどう襲ってきたのかわかりません。もし被害者の女性が催涙スプレーなど護身用品を持っていたとしても、それで応戦できる状況だったのか、護身用品を使用していたら助かっていたのかもわかりません。しかし、護身用品さえあれば、無防備の場合よりも助かる可能性が高かったのは紛れもない事実です。護身用品を持っていなければ抵抗のしようがないからです。

今回の被害者の方も、ストーカー被害に遭っていたのなら、最悪の事態も起こりうることは想定できたと思います。警察に相談するだけでなく、もう一歩踏み込んだ準備や警戒はできたはずです。それを考えると悔やんでなりません。

ストーカー被害がエスカレートし、身に危険を感じた場合には、まずは念のため警察に相談すること。でもそれで解決だと安心してしまわないこと。そして万が一の時には相手と一対一でも自分の身を守る手段を準備し、同時にストーカー被害が解決するまで決して油断しないこと。これが大切です。

ストーカー被害に遭っている方、ストーカー被害の予感がする方は、ストーカー事件の最悪の結末は殺人事件であることを絶対に忘れず、今のうちに可能な限りの防護策を講じ、常に警戒を怠らないように徹底してください。

護身・防犯コラム

12月24日に東京池袋駅でスタンガンを使用した事件がありました。

スタンガン当てられ男性ケガ、男逮捕 池袋

東京の池袋駅で、30代の男性がトラブルとなった男にスタンガンを当てられ、ケガをする事件があった。男はその場で現行犯逮捕された。

事件があったのは、東京メトロ有楽町線・池袋駅の改札口近く。警視庁によると、24日正午過ぎ、30代の男性が40代の男にスタンガンを当てられ、軽いケガをしたという。駆けつけた警察官が、スタンガンを当てた男を暴行の疑いで現行犯逮捕した。2人は何らかの原因で、胸ぐらをつかみ合って顔を殴るなどのトラブルになっていたという。逮捕された男はスタンガンについて、「護身用に持っていた」などと話しているという。

livedoor NEWS

事件の経緯はよくわかりませんが、なんらかのトラブルだったようです。

この事件の関係で、テレビ朝日の報道から電話インタビューを受けました。インタビュー内容は音声ですが本日朝のニュース番組で放送されたようです。

こういった護身用品の悪用事件は本当に許せません。

護身用品は弱者が身を守るためにあります。素手では身を守ることのできない人が、犯罪の被害者にならず自分だけの力で身を守ることができる唯一の道具です。

そんな護身用品を悪用し、マスコミが注目し、世論が高まり、万が一護身用品が販売禁止などになれば、護身用品を本当に必要な人が買えなくなります。

ただでさえ警察は、一般人は警察が守るのだから護身する必要な無しというスタンスです。

それに加え、護身用品=悪いものという印象が根付いてしまえば、護身用品が必要な人ですら買いづらくなるでしょう。

テレビ朝日のインタビューは、それ自体は護身用品を名指しで非難するようは内容ではありませんでしたので少し安心しました。報道なので、悪用する人の問題と、悪用された物の問題をしっかりと切り分けているように感じました。

護身用品は喧嘩などの道具として使用することは出来ません。あくまで正当防衛での使用が必須条件です。ただの喧嘩に護身用品を持ち出すことは認められませんが、仮に喧嘩が凶器を使用した暴行に発展した場合には、正当防衛として身を守るために使用すべきとも言えます。

今回の事件についても、現在わかっている情報ではトラブルがあったらしいということくらいです。実際に、ただの喧嘩に勝つための道具として使用したのか、身を守るためにやむを得ず使用したのか。結論を決めてかかるのは早計かもしれません。

護身用品は相手に致命傷を与えない唯一の安全な武器です。スタンガンや催涙スプレーは、稀に悪用もされるためか悪い印象を持っている方も見受けますが、それは悪用事例はニュースになって耳にする機会があるからです。護身用品で助かった場合にはほとんど公にされることはなく、ニュースにもならず、耳にすることもありません。

しかし、実際に護身用品で助かったという事例は少なくありません。助かる方がいる限り、必要としている人がいる限り、身を守る最後の手段として護身用品は必要です。

当店は護身用品の販売時に身分証明書を確認し、悪用しないなどの誓約事項に同意をいただいています。それは一重に、悪用を前提とした護身用品の購入者を排除することが目的です。

販売店としても自主規制で悪用防止に努力しつつ、必要な方にしっかりと購入していただけるよう態勢を維持しています。

どんな道具でも、例えば野球のバットやゴルフクラブ、包丁、ナタ、金槌など、使う人によって凶器になるものなんてそこら中にあります。そんな中で、相手を死に至らしめることなく撃退できる護身用品の存在価値は計り知れません。

護身用品の事件が起きる度、どんな報道がされるのか、世論がどうなるのか、とても心配になります。

これからも当店は、護身用品の悪用撲滅を目指しながら、犯罪被害を未然に防ぐために、正しく護身用品を販売していきます。

どうか皆様も、護身用品の存在価値を見誤らないようにお願いします。

護身用品専門店KSP 店長:白石

護身・防犯コラム

実際のタクシー強盗

画像は2018年8月31日未明、神奈川県川崎市の路上で実際に起きたタクシー強盗の犯行の様子です。(犯人は翌月13日に横浜市内で逮捕されました。)

このタクシーにも防犯パネルが付いていますが、ほとんど役に立っていません。

タクシードライバーの皆さん、タクシードライバーのご家族の方々、タクシー関係者の皆さん、この事件をどう思われますか?

私は常々感じてることですが、あの形だけの防犯パネルって何の意味があるのでしょう。そして、防犯パネル以外に強盗への対抗手段がない現在のタクシードライバーは、あまりにも無防備です。

今回の犯人は運転席に身を乗り出し、刃物を運転手に突きつけています。防犯パネルがあるからといって躊躇する様子は全くありませんし、実際に防犯パネルは全く役に立っていません。誰がこんな無意味なものを考えたんだろう。ただ過剰に運転手の安心感だけを演出するこの手の防犯用品は見てて呆れます。

過去にも多くのタクシー強盗が発生していますが、最近は車載カメラが車内も撮影するようになり、強盗の一部始終が記録に残るようになってきました。実際に画像で見ると、タクシー用防犯パネルの無意味さと、タクシードライバーの危険リスクを強く感じます。

タクシー強盗
▲2017年に埼玉県で発生したタクシー強盗の様子。防犯パネルなど意に介さず犯人はタクシードライバーに刃物を突きつけている。

また、タクシー防犯パネルは犯人を遮らないばかりか、いとも簡単に破損する事も忘れてはなりません。本当に腹立たしいくらいお粗末です。もしも自分の家族がタクシードライバーだったら、開発者もきっと、こんないい加減なもの造らなかったはず。

タクシー車内で暴力
▲蹴るだけで壊れて外れてしまうタクシーの防犯パネル

防犯パネルが付いたタクシーで強盗事件が起きるたび、防犯パネルの無力さを実感するのは私だけでしょうか。どうしてマスコミは、防犯パネルが付いていたにも関わらず起きた事件について、タクシーの安全対策に注目しないのか理解できません。

何度も言いますが、タクシーは乗客の希望する場所に行くのが仕事です。乗客が強盗を計画するなら、当然ながら強盗に都合が良い場所を指示するでしょう。正に自ら強盗の被害に遭いにいくようなものです。また、タクシードライバーは業務中は必ず一人きりです。どんな危険にも自分一人で対処し、身を守らなければなりません。過去には人気の無い所まで乗せて行き、僅かな売上金のために殺害されたケースすらあります。

タクシーはこと強盗に限っては、仕事内容があまりにも不利です。その点に着目すると、役に立たない防犯パネルや、事後の検証にしか利用できない車載カメラだけの防犯対策では不十分としか言いようがありません。

タクシードライバーの皆さんは、もっと仕事上のリスクを主張すべきです。そして、強盗と一人きりで対峙した時に、何らかの、例えば護身用品のような自分一人だけで自分の命を守ることのできるグッズを備えておくようにしてください。

護身・防犯コラム

見落とされがちな災害時の防犯対策

平成28年熊本地震、大阪府北部地震、平成30年7月豪雨(西日本豪雨)、平成30年台風21号、平成30年北海道胆振東部地震(北海道地震)と大きな災害が続いています。

被災された方々には心からお見舞いを申し上げると共に、一日も早い復興を心よりお祈りしております。

このような災害が起きると、防災のことを考えて見直す方も多いと思います。

私も災害の報道を目にする度に、私自身の生活における被災時のライフラインの確保や計画、備蓄品について思いを巡らせます。

しかし、私は防犯業界の人間です。どうしても防犯面のことも気になってしまいます。

災害が発生したり、災害の危険が迫ったりしたとき、自分の命を災害から守る行動が最優先です。しかし、同時に防犯面でも安全性が大きく低下します。この点がいつも気にかかります。とても大切な問題です。

今回は、災害を防犯の側面から考えてみます。

災害時に低下するセキュリティ

避難と留守中の家屋

災害時の主な安全対策に避難があります。大雨や台風の警報で、安全な避難所へ避難する方も多いと思います。

こういった時、セキュリティが低下するのが家です。空き巣にとって、地域が一斉に避難する地域の家は格好のターゲットとなり得ます。

避難所

避難所ではプライベートの仕切りもない空間で、不特定多数との生活を余儀なくされます。

避難時にはだれでも可能な限り貴重品を持ち出すことと思います。これは、裏を返せば避難所は犯罪者にとっては宝の山ということになります。

交通

災害では交通網が分断されたり、集落が孤立することも珍しくありません。

これは、消防車や救急車だけでなく、警察車両も通れないことを意味します。つまり、110番をしても、警察を呼ぶことが出来ないということです。警察を呼べないということは、その間の危険については警察に頼ることができないということになります。

通信

通信網の切断は大きな問題です。

携帯電話が使えなければ110番ができません。携帯電話が使えなくなる大きな要因は2つあります。それは通信網が遮断されるか、携帯電話の電池が切れるかです。

実際の例

東日本大震災では甚大な被害が起きました。

東日本大震災は私が防犯に携わって初めての大きな災害でした。ニュースで想像を絶する被害を目の当たりにし、驚きで呆然としたのを覚えています。

とても大きな災害で、被災者の方々の水や食料・生活用品の不足が次々と報道され、防災用品の備蓄の大切さを感じていた頃、当店への護身用品の注文が増え出しました。地震発生から1週間ほど経った頃でしょうか、既に護身用品の注文数は通常の10倍ほどまで増加し、その対応に追われることになったわけです。

このとき、電話でも沢山の相談や注文を受けましたが、その多くが地震の被災に関わる方からのもで、正直驚きました。お話を聞くと、被災地の治安低下が著しく、110番も機能していないという実態が明らかになったのです。

この事実は、なぜが報道ではほとんど報じられませんでした。報道も限られた時間で優先度を考慮しながら、いろいろな事を扱うので、防犯については優先度が低かったのかもしれません。しかし、被災エリアの方の治安悪化への心配は、それは切実なものでした。

被災時の防犯対策

被災時の防犯対策は、災害から命を守る防災的な行動の次に重要と考えます。防犯もまた、自分を守るという重要な対策です。被災時には、防犯面として次に上げる行動をとるように心がけましょう。

なお、防犯は防災よりも優先度が低いのは事実です。すぐに自分の命を災害から守る行動を起こさなければならないときは、何よりも防災が優先されることに変わりはありません。防犯対策は防災行動時に余裕があるときに考えるようにしてください。

行動

避難時の施錠

家は施錠をしてください。施錠は帰宅時の安全性に大きく関係します。不審者の侵入を防止するために、可能な限り施錠しましょう。避難時に慌てて施錠を忘れたり、避難の遅れがでないように、日頃から避難のときの行動は自宅の施錠を考慮して訓練しておきましょう。鍵をかけるドアや窓は何カ所ですか?無駄なく全ての施錠確認をするとどれくらいの時間がかかりますか?停電時でも確認できますか?

クルマの施錠については微妙です。避難中で不在のときに、何らかの救助活動でクルマを移動させる必要が生じるかもしれず、火砕流や津波から逃げる人にとっては、そのクルマが避難の助けになるかもしれません。万一の時には第三者がクルマを動かせるように、クルマには鍵を付けておくことも良いことかもしれないので、その点は日頃からよく考えておきましょう。

避難所

避難所では、貴重品や薬など、最も大切なものを持ち込んでいると思います。しかも、出来るだけ手軽に持てる状態で持ち込んでいるはずです。これは裏を返せば、すぐに持ち去れる状態とも言えます。

避難所には被災者かボランティアの人しかいない。犯罪者はいるわけないと信じても、本当にそうかというとわかりません。まずは盗難に注意しましょう。

糖尿病などの持病で服薬を欠かせない人は、まずは現金や高価なものと薬を別に保管してください。災害から命を守れても、病気から命を守れなければ意味がありません。持病の薬はお金よりも大切な、命と同じ重みなんだと考えるべきです。薬は寝るときもその場を離れるときも、身に付けておくようにしてください。

避難所に寝泊まりするスペースを確保したら、荷物を一カ所にまとめてください。そして、その場から離れるときも無人にならないように、家族の誰かが残るか、知人にお願いして荷物を見張ってもらいましょう。就寝時は、荷物でも特に大切なものだけをリュックなどに入れ、身につけて寝ると安心です。寝る姿勢が多少無理があるかもしれませんが、防犯面では安心して寝ることができます。

トイレが離れた場所にあり、夜間に行く場合などは、女性の方は特に、誰かと一緒に行くようにしましょう。出来るだけ一人にならないように心がけてください。

帰宅

帰宅時に気を付けてることは一つだけです。それは侵入者の有無の確認です。

帰宅時には、周囲の窓に割られた形跡がないか、まずは玄関を開ける前に確認してください。鍵の周囲が割れていたら、まず侵入されたと考え、すぐには家に入らず警察に通報してください。また、ガラスが大きく割られていたら、災害で割れた可能性を除くと、大胆な空き巣犯かクマが考えられます。いずれにしても帰宅時に、ほっとして無警戒に玄関を開けるのは危険です。家に入る前にしっかりと周囲を観察し、安全を確認しましょう。

玄関を開けたら、すぐに床に靴の足跡がないか、部屋に荒らされた形跡がないかを確認してください。また、避難後の帰宅はセキュリティの観点から、できれば一人は避け、2人以上で帰宅確認を行ってください。もし少しでも違和感を感じたら、すぐに家を出て警察に通報しましょう。

帰宅後

帰宅した後でも、被災の程度によっては警察の活動がままならず、地域の治安が低下している恐れがあります。帰宅して生活を始めても、110番が十分に機能していなかったり、付近の住宅は避難したままで自宅が孤立しているかもしれません。

このような場合には、帰宅できたとしても防犯面がこれまで通りの安全レベルに回復していないと考えてください。犯罪者は被災者の弱みにすらつけ込みます。地域の治安が通常通りに回復したと十分に確認できるまで、防犯面の警戒を怠らないように注意してください。

グッズ

護身用品

避難所の安全確保、帰宅時の安全対策として、最も効果があるのは護身用品です。特に催涙スプレーは誰でも簡単に扱えて効果は絶大、相手を怪我させることなく、クマも撃退できます。

催涙スプレーは大きさも手の平程度しかなくコンパクトです。東日本大震災でも催涙スプレーは被災地から大量に注文を受けました。防災用品の一つとして、必ず催涙スプレーを用意しておきましょう。そして、避難所で危険を感じる場合や、帰宅時・帰宅後には、万一の危険に備えて催涙スプレーを準備しておきましょう。

最後に

災害といえば防災ばかりに目が行きがちですが、最低限の犯罪から身を守ることもまた、災害時に気を付けるべき重要事項です。

繰り返しになりますが、まずは災害の一時被害から自分の命を守ることが最も重要です。一刻を争う状況であれば、着の身着のままで逃げることに迷いは禁物です。

しかし、災害時は治安レベルが低下することも事実です。できれは普段から、防災用品に護身用品を加え、避難時や帰宅時の行動には防犯の側面も考慮できるように、日頃からよく考え、訓練しておきましょう。