某検察官からの問い合わせ(催涙スプレーの素朴すぎる疑問)

2017年6月10日

先日、某検察官から問い合わせがありました。

扱っている案件自体の詳細はもちろんわかりませんが、催涙スプレーのことについて教えてくださいとのことでした。

催涙スプレーについて先入観をもって決めつける前に、専門家に裏付けをとることは良いことですね。

質問:催涙スプレーが皮膚に付着したら火傷やただれなど怪我に繋がりますか?

答え:そのようなことはありません。経験上、指などに付着しても痛みも含め特別な症状はなかったですし、私の顔面に噴射して確かめたときも皮膚にそのような症状は起きませんでした。

ニュースなどでたまに、催涙スプレーを噴射され病院に搬送された方の皮膚がただれてるなど目にしますが、あれは果たして事実なのかと目を疑います。対人用の護身用催涙スプレーではそのような症状は起きません。最大限の効果を安全に発揮するよう考慮されているからです。そもそも何かスプレーされれば、すぐに催涙スプレーと報道するようですが、果たして本当に薬剤は催涙液なのか、そこをしっかりと確認する必要があるでしょう。劇薬に類する殺虫剤などの可能性も否定できないはずです。

福岡で発生した数億円の路上強盗の事件でも、事件直後に某テレビ局の報道フロアから問い合わせがありました。マスコミがこぞって「被害者が催涙スプレーを噴射され現金を強奪された」と決めつける中、客観的な意見を求め取材する姿勢は立派ですが、逆に「事件発生間もないのに、噴射されたのが催涙スプレーってどうしてわかったんですか?被害者がそう言ったから?被害者はなぜ催涙スプレーとわかった?」と質問を返すと、なるほどと納得されていました。その局では「催涙スプレーを噴射され」ではなく「スプレーのようなものを噴射され」と正しく報道すると言っていました。ともすればすぐに催涙スプレーと決めつけるマスコミにも困ったものだと思います。そもそも福岡の事件については、噴射を受けて現金を奪われた被害者が、そのあと数百m走って犯人の車両を追いかけています。もし催涙スプレーが使用されたなら、とんでもなく弱い催涙スプレーか、または催涙スプレーではない何かのスプレーなのかでしょう。ヘアースプレーや制汗スプレーはどこでも簡単に入手でき、これはこれで目に入ると痛いとも聞いていますし。もし事件にきちんとした護身用の催涙スプレーが使用されたとしたら、追いかけるどころか最低1時間は立ち上がることすらできないはずです。

なお、北米が主なマーケットとなるヒグマ用のクマスプレーは、催涙液の濃度が極端に濃いため、皮膚の爛れなど重篤な後遺症が残る恐れがあります。クマよけ専用のスプレーと護身用催涙スプレーは成分は似ていますが、効果は全く違いヒトには大変危険なので注意が必要です。

質問:目に入ると視力がおちたり、失明することはありますか?

答え:そのようなことはありません。自分で体験したときに、実際に大量に顔面に噴射し、相当な量が目に入りましたが、視力等に悪影響は残りませんでした。

当然ながら、護身用催涙スプレーは人体に対する安全性も考慮されています。身をもって体験しましたが、視力に影響は残りませんでした。ただし、これも先述の通りクマよけスプレーとなると話は別で、失明の恐れがありますので危険です。

質問:あなたの噴射動画を見ると顔面が赤くなっていますが、催涙スプレーの症状でしょう?

最強催涙スプレーF-605の体験と放置テスト(KSP店長 白石)

答え:そうとは限りません。人間は大きく力んだり、激痛を我慢したりすると顔面が紅潮することがあります。催涙スプレーは考えられないくらいの激痛が襲うため、我慢からくる紅潮だった可能性もあります。実験では顔面以外にも様々な体の部位に催涙液が付着しましたが、赤くなったのは顔面だけです。また、激痛に耐えるために大量の氷水で顔面を冷やし続けましたから、冷やしたことによってしもやけのような状態で赤くなった可能性もあります。

このあたりから、質問される検察官の方のいらだちのようなものを感じます。催涙スプレーが思っていたほど悪質ではないとわかってきたせいでしょうか。強力かつ「安全」という部分が、よほど意外だったのでしょう。なんとか催涙スプレーの害を探したい、聞き出したい、そのような雰囲気です。でも実際に護身用催涙スプレーは威力と安全性を両立していますの、いくら聞かれても安全なことに変わりはありません。

質問:痛みはどれくらいの時間で治まりましたか?

答え:基本的に激辛カレーを食べた舌の痛みを想像してください。それのずっと強力なものが催涙スプレーと思ってください。成分は近いので。ですから激辛カレーを食べた後と同じように、氷で冷やし続けたうえで、数時間ほどで痛みを感じなくなりました。

大量の氷と水を用意し、実験後にすぐに冷却対処を開始した上で、目が無理に開くようになるまで約15分くらいでしょうか。でもこの段階では開けられても数秒が限界です。ちゃんと周囲を見ることが出来る状態まで回復するのに30分以上かかったと思います。顔面自体の痛みはさらに持続し、ひりひりした痛みがなくなるまでには2〜3時間を要しました。なので、水も氷もない状況下で催涙スプレーを受けた場合、最低1時間は目もあけられない事は確実です。しかしそうはいっても成分はカプサイシンで、目や顔の痛みは激辛カレーを食べて感じる舌の痛みの延長線にあります。そして激辛カレーを食べたあとには舌の痛みを緩和するために水を口に含みたくなります。催涙スプレーを受けて顔面を冷やすのも、それと同じイメージです。

質問:でも、催涙スプレー本体に噴射されたら赤みや痛みの症状が出ると注意書きはないですよね?

答え:逆に聞きますが、激辛カレーに舌が赤くなる、舌に痛みを感じるって注意書きはありますが?安全で害がないのに表記する必要はあるものなのですか?

(相手はうーん、と唸って沈黙・・)

最後のこの質問は、あきらかに検察官が、何かの理由をこじつけて催涙スプレーを悪者にしようという意図を感じられたので、意地悪ですが質問で返えさせてもらいました。だって、この検察官は何かの事件の裏付けをとりたくて質問してきているはずなのに、最後の質問はあきらかに裏付けのためとは思えなかったから。

催涙スプレーで大勢が助かっているのが事実です

マスコミも、司法機関も、すぐに催涙スプレーを悪いものだと決めつけたがる。そういった風潮にはうんざりです。警察では守り切れない私たちの日常の危険から、催涙スプレーが多くの人を救っている事実はどうなるの?それは無視?救われたから事件にならない。だからマスコミも知らないし、警察も知らない。それは逆に考えると、それだけ絶大な防犯効果を上げているということでしょう?事件になる前に危険の芽を摘み、事件を未然に防ぐ護身用品の存在こそ、私たちの生活の安全を土台から支えているのではないでしょうか。護身用品で助かったという話をお客様から聞く度に、そのことを実感しています。

絶対に防がなければならない護身用品の悪用

とはいえ護身用品を悪用するケースも少なからず存在することも事実です。KSPでは護身用品販売の際に身分証明書を確認し、同意事項に同意をいただいて販売していますので、悪用自体はほぼゼロです。でも全てのショップが同じような対策を行っているわけではありません。警察からの事件の捜査協力の依頼は頻繁にあります。調べるたびに当店が販売したものではないと判明するのですが、問い合わせの度に「ああ、また護身用品悪用の事件か・・」と落胆します。こういった悪用される護身用品は、身分証明書も確認せず、匿名でも未成年者にでも無分別に販売するショップが販売したものでしょう。この「悪用防止」は、とても大事なポイントです。警察や検察もマスコミも、その部分をもっと注目すべきでしょう。

護身用品の悪用は、販売したショップと悪用した本人が問題であって、悪用の原因を護身用品そのものに求めるのはナンセンス。

わたしはいつもこう考えています。だって、護身用品が役立ち救われた方が、悪用事例とは比較にならないほど沢山いるから。みなさんはどう思います?

これからもKSPは「正しい護身用品を正しく必要な人へ」をモットーに、防犯と正面から向き合っていきます。

護身用品専門店KSP 店長 白石