【クマ情報】夏の里にツキノワグマ 滋賀で目撃多発
夏の里にツキノワグマ 滋賀で目撃多発
京都新聞 7月26日(土)9時29分配信
(写真)捕獲後、奥山に放されたツキノワグマ。体長約1.2メートルの成獣だった(5月、大津市内)=滋賀県自然環境保全課提供
ツキノワグマの目撃が滋賀県北部を中心に6月以降、例年に比べ大幅に増えている。本来は冬眠前の9~11月に人里近くで出没が増えるが、県自然環境保全課は「山に餌が少ない上、6月はササ類を食べるシカと競合し、人里に現れるのではないか」と推測。住宅地近くで目撃されるケースもあり、各自治体はチラシや看板などで注意を呼び掛けている。
県の集計では、本年度のツキノワグマの目撃数は4、5月は平年並みだったが、6月は計18件と急増。過去10年の同月平均の8件を大幅に上回った。地域別でも長浜市の8件、米原市3件、高島市3件、大津市4件と広範囲にわたる。秋口にかけ、さらに増加が予想されるため、同課は安全対策を促している。
目撃場所も、住民に身近な場所での出没が相次ぐ。6月7日に大津市北比良の住宅地近くで1頭(体長1~1・5メートル)、長浜市北野町の神社脇で1頭(同約1メートル)が確認されたほか、7月10日には米原市大清水の集落付近で1頭を見かけたとの情報があった。
同課は「クマは秋は木に登って実を採るが、5、6月は主にササを食べる。シカの食害が甚大な現状から考えて、森林の餌が相当減っているのではないか」と話す。
昨年度は目撃ゼロだった大津市はチラシ1400部を作り、各自治会などに配布した。対策として、家の周りの不要な柿やクリの実、蜜蜂の巣を除去する▽墓地の供え物は持ち帰る▽本来臆病で人を避けるので、ラジオや鈴など音を出す物を身に付ける-などを挙げている。長浜市は市の防犯メールを活用しクマの出没情報を知らせ、高島市は発見地近くに「クマ出没注意」の看板を設置した。
県の2012年度の調査では、ツキノワグマは県内に推定で260~280頭生息している。希少種のため、捕獲した際は凶暴性などを考慮した上で奥山に放すという。
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