マスクと護身用品と催涙スプレー
新型コロナの影響が長引く中、気がつけば一年中、街で見かける人の大半がマスクをつけている状況になっています。
感染症の流行下においては、可能な限りのマスクの着用は公衆衛生上必要なことです。
しかし、マスクは簡単に人相を隠せることから犯罪者が使用することもまた事実。マスクに帽子でも被れば、防犯カメラに写ったとしても目撃されたとしても人相なんてほぼわからないはずです。少なくとも私はマスクをしている人の人相を判別する自信はありません。
公衆衛生上必要なマスクですが、人相の特定という面ではマスクがマイナスに影響しているのでは?と、つい考えてしまいます。
このような心配は、防犯業界に身をおく者として職業病のようなものですね。
こういった社会状況の中で、今回はお客様からよく質問を受ける「マスクをした相手に催涙スプレーが効くのか」を含め、マスクと護身用品の効果について整理してみます。
相手がマスクをしていた場合の護身用品の効果
さて、本題なのですが、外出する人のほぼ全員がマスクをする昨今です。
襲ってくる相手がマスクをしていた場合に、相手のマスクは護身用品の効果に影響しないのか。これを気にされる方も多いのではと思います。
今回は、これらの護身用品に対して以下のパターンについて、相手がマスクをしていた場合に効果がどのようになるのかを解説します。
- マスクをした相手とスタンガン
- マスクをした相手と特殊警棒
- マスクをした相手と催涙スプレー
マスクをした相手とスタンガン
スタンガンは相手にスパークを見せて威嚇したり、相手に当てて電気ショックを与えて撃退する護身用品です。
威嚇する場合には相手にスパークを見せればいいので、相手がマスクをしていても威嚇効果は変わりません。
相手を感電させる場合にはスタンガンの電極を相手に押し当てて使用します。押し当てる時は相手の体のどこでも良いのですが、相手の口元に当てることは考えにくいので、相手のマスクはあまり考慮すべき問題ではないと言えます。
なお、スタンガンの電流は多少の厚みの衣服でも問題なく貫通します。そのため、もし相手のマスクの上から当てたとしても問題なく効果があります。スタンガンを顔面に押し当てたらの話ですが。
マスクをした相手と特殊警棒
特殊警棒は伸ばした警棒を相手に見せて威嚇したり、実際に打撃を与えて相手を行動不能にする護身用品です。
当然ながら威嚇、打撃ともに相手のマスクによって効果が弱まることはありません。
相手がマスクをしていても問題なく使用できます。
マスクをした相手と催涙スプレー
催涙スプレーは相手の顔面に催涙剤を浴びせ、催涙剤の刺激によって相手の目が開けられなくなり、視界を奪うことができます。
目以外であっても顔面の皮膚に付着すれば激痛を引き起こし、激しい痛みのため正常な思考ができなくなるし、立ち上がることすら困難になります。
催涙スプレーのよく見かける解説では「痛みで目が開けられなくなり、吸い込むと咳がとまらなくなる」などと説明されています。
しかし私の実体験では、最も大きな苦痛は顔面全体の激痛でした。(これは実験に使用した当店のポリスマグナムが世界最強の成分濃度だからかもしれませんが)
実際のところ、相手から何か液体を噴射された場合、人間は本能的に目をつむり息を止めます。
目の場合はいくら目をつむっても顔面に浴びた催涙剤は必ず目に侵入しますので、目には100%効果があると言えます。
私の体験でも目をつむりましたが、催涙剤は目にも入ってきました。
しかし、催涙剤を吸い込むのかとなると話は別で、催涙剤を浴びる瞬間に本能的に口を閉じ、息をとめてしまいましたし、その結果喉が痛んだり咳が出るようなことはありませんでした。多分誰でも同じような反応をするんじゃないかと思います。
よく見る解説の通り相手が吸い込んでくれたらいいのですが、恐らく誰でも本能的に口を閉じ、息をとめると思われるので、喉や鼻への影響は期待しないほうが賢明です。
実体験から得た結論としては、催涙スプレーの最も強い影響が発揮される部位は顔面の皮膚です。
もし相手がマスクをしていた場合でも、顔面の大部分は露出しています。
また、マスクは口への直撃は防げても、マスク自体が空気を通す構造なので当然ながら催涙剤はマスクに染み込みます。
こうなると息ができなくなるだけでなく、染み込んだ催涙剤が結果的には鼻周辺や口元の皮膚に付着し、マスクでカバーされていなかった皮膚の部位と同様の効果があることは確実です。
結論として、催涙スプレーはマスクをしている相手に使用しても問題なく使用できます。
なお、催涙スプレーは催涙ガスを噴射するというイメージから、ガス状のものであればマスクで防御されてしまうのではと心配される方もおられます。しかし、実際に噴射する催涙剤は液状です。まさに水を浴びせるようなイメージで噴射しますので、マスクに防御効果はありません。
結論
護身用品の効果については、マスクによって効果がなくなったり、実用に満たないほど効果が低下するようなことはありませんのでご安心ください。
ただ、冒頭でも書いた通り、マスクには覆面効果があるのも事実です。
人の人相はマスクをするだけで全く変わってしまい、判別が困難になります。
マスク装着が常識となってしまう時代に向けて、私たちはさらに日々の安全のため、注意を怠らないようにする必要があります。
よければ当店のサイトもご覧ください。
ディスカッション
コメント一覧
まだ、コメントがありません