催涙スプレーの持ち歩きで知っておきたい5つのポイント
催涙スプレーはいつでも持ち歩きたい護身用品ですが、持ち歩きにはいくつか注意点があります。
今回は催涙スプレーを持ち歩く場合に知っておきたいポイントを5つ解説します。
法律面
催涙スプレーを持ち歩く時に心配になるのが法律面です。要するに合法なのか、違法なのかという点です。
結論から言うとグレーゾーンなわけですが、そこには法律の内容を見る人の立場の違いが大きく関係してきます。
護身用品の購入や所有は完全に合法です。しかし、護身用品が抵触する可能性のある唯一の法律があります。それが軽犯罪法の一部分です。
軽犯罪法は私たちの日常生活のルールを細かく定めた法律です。細かな規定が沢山あり、その中には「他人の家畜を驚かせてはならない」だとか、「行列には割り込んではならない」、「健康な人は働かねばならない」だといった、法律とは思えない内容も含まれています。
軽犯罪法を厳密に適用していては逮捕者が続出しますし、とても重罪と言えるものではないのも事実です。そのため軽犯罪法にはむやみに濫用してはならないという条件が付いています。それくらい軽犯罪法は軽微なものだと言えます。
この軽犯罪法の中に、「正当な理由なく武器などを持ち歩いてはならない」といった内容の一文があります。これが護身用品に関わる部分です。
軽犯罪法の歴史は古く、そもそもは日本が近代化をするにあたり、国民の文化レベルを引き上げることが目的と言われています。恐らく「正当な理由なく武器などを持ち歩いてはならない」という項目は、武士が刀を持ち歩くのを禁止した名残ではと考えられます。
この部分を現代に当てはめ、護身用品を武器と見立てて適用するのが、護身用品に軽犯罪法が関わってしまう理由です。
少し長くなりましたので、簡単に説明します。(詳しくは護身用品を持ち歩く心構えと警察・職務質問の対処方法をご覧ください。)
現在、護身用品の持ち歩きの際に軽犯罪法を適用するのかどうかの判断のポイントは、持ち歩く理由が正当かどうかです。(持ち歩くの言葉通り、自宅や私有地内であればまったく問題ありません。)
私たちは自分の命を守るために護身用品を持ち歩きます。しかし警察は、その理由を正当だと認めたがりません。その理由は恐らく2つ。一つは、自分での護身を認めると、警察が無能だと認める事になる威信の問題。もう一つは、護身の正当性を認め持ち歩きを許した後に悪用された場合の責任問題です。こういった理由で、警察はとにかく何かあれば110番すればいいのだから、一般市民は丸腰でいろと主張します。
軽犯罪法は逮捕されたりする法律ではありません。基本的に注意で済む法律です。
私たちが軽犯罪法をしっかりと理解し、もし質問されても「自分の命を守ることが正当だと判断している」と答えることが大切です。それでもいろいろな理由をつけてきて携帯を認めないと言われた場合には、その場では警察の指示に素直に従うとともに、後日、催涙スプレーはしっかりと返してもらいましょう。なんといっても所有は合法なのですから。
ちなみに、万一の時に正当防衛で催涙スプレーを使用したとしても、それを警察が咎めることはありません。有事の前に持っていたら認めたがらない、でも有事の際に使用した事実は問題視しない、これが警察の対応です。
誰かに襲われたとき、催涙スプレーで最低限身を守るほうがいいですか?それとも古い法律と警察のメンツを立て、襲われながら110番して警察を待ちますか?
最後は皆さんの「自分の命を守る事に対する価値観」の判断となります。
収納・携帯方法
催涙スプレーを持ち歩くのは護身のためです。
でも、いつ襲われるかなど誰にもわかりません。
つまり、催涙スプレーはいつでもすぐに使用できるような場所に入れて携帯するべきです。
例えば乱雑なカバンに放り込んだだけでは、いざ必要な時にすぐに取り出すことは出来ません。リュックに入れていれば、必要なときにリュックを降ろして取り出さなければなりません。
そういった手間を最小限にするために、催涙スプレーは出来るだけすぐに取り出せる場所に収納しておきましょう。バッグであれば、内ポケットの一つを催涙スプレー用として割り当てたり、衣服のポケットであれば、いつも同じ場所に入れておけば、万一の時にすぐに取り出して使用できます。
また、襲われる場所は明るい場所とは限りません。真っ暗な場所でも催涙スプレーをごそごそ探さないで済むように、よく考えて収納場所を決めてください。
天候
催涙スプレーは雨や雪の中でも使用できます。水に濡れて不具合が起きるような構造ではありません。
強風の下では噴射した催涙剤が曲がったり、逆にこちらに戻ってきたりする可能性があります。この強風というのは、ビュービューと吹きすさぶくらいの強風と考えて問題ありません。ほとんどの普通の風レベルでは催涙スプレーは問題なく使用できます。
温度
催涙スプレーの保管周囲温度は最高で40℃です。夏場のクルマの車内や屋外の物置などでは40℃を超える恐れがありますので、そういった場所では保管しないようにしてください。なお、温度が超えた場合に起こる現象の多くは液漏れです。
氷点下の低温では、催涙スプレーそのものに問題は起きませんが、ボタン付近に付着していた水分が凍結すると使用時にボタンが押せなくなる可能性があります。注意してください。
これらの高温、低温問題を意識せず済む方法は、常に身近に置いておくことです。バッグやポケットに入れておき、常に人がいる環境下に置いておけば、温度による問題は起きません。
衝撃
催涙スプレーとはいえ本体は金属の缶なので、強い衝撃や圧力をかけると凹む可能性があります。また衝撃の場所によっては圧力缶のシールが壊れたり、ノズルが壊れたりする可能性があります。
投げる、落とす、踏むといった強い力が加わらないように気を付けてください。
なお、身に付けて走ったり、運動したり、自転車やオートバイに乗ったりするレベルの衝撃は、全く問題ありません。
最後に
長くなりましたが、催涙スプレーの持ち歩きの時に知っておきたい内容を解説しました。
催涙スプレーは基本的に持ち歩くことを前提としているので、異常な使い方でなければ、持ち歩き時に特別意識したり注意したりする必要はありません。ご安心ください。
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