スタンガンの所持と法律
スタンガンの所持は違法なのか、多くの方が悩むところだと思います。
もちろんスタンガンは護身用として、万一のときに身を守るもの。当店のような護身用品専門店では「スタンガンがあったおかげで助かりました」という声が聞かれる一方で、事件としてニュースになるような悪用事件も発生しています。
今回はスタンガンの所持について、現実と法律の両面から考えてみます。
所持と所有の違い
まず、似た言葉である所有と所持の違いを明確にしましょう。
所有と所持の違い
所有:自分のものとして有すること
所持:身につけて持ち歩くこと
この通り、所有と所持は明らかに違いますね。
所有はスタンガンを購入すれば、それを家に置いていても店舗に備えても、自分のものとして所有することになります。
所持は、実際にスタンガンを身につけていることです。ホルスターを利用して腰に下げたり、クルマのトランクに入れていたり、カバンやポケットに入れていたりすると所持していることになります。
スタンガンの所有は合法
スタンガンの所有は合法です。
スタンガンを自分のものとして有することは、法律に一切触れません。
スタンガンそのものが違法であれば当然ながら堂々と販売できるはずもありませんね。
従って、自宅に備える、店舗や事務所に備える、など外で持ち歩かない場合は完全に合法となります。
スタンガンの所持は微妙
スタンガンの所持とは、実際に身につけて外を出歩くことを指します。
このとき、法律に触れる恐れがあります。
それが軽犯罪法です。
軽犯罪法は、私たちの身の回りの生活における様々な細かいルールを規定した法律で、その中に「正当な理由なく武器などを持ち歩いてはならない」という項目があります。
そして、スタンガンの所持に対して「正当な理由もなく武器を持ち歩いているのでは?」という疑いがかけられるわけです。
軽犯罪法とスタンガンの実際問題
軽犯罪法には「正当な理由なく武器などを持ち歩いてはならない」とされてます。
それでは具体的に「正当な理由」と「武器など」について考えてみましょう。
命を守るほど正当な理由はないはずなのに
私たちが自分の命を守るためにスタンガンを所持することは正当な理由ではないのか?自分の命を守るという理由以上に正当な理由などあるのでしょうか?考えればわかることですね。
しかし残念ながら、警察の答えは「NO」です。警察の立場はあくまで、未来の被害者に自衛の手段を認めることではなく、未来の犯罪者を取り締まることです。だから答えは当然NOなのです。
警察は信じられないことに「あなたが自分の身を守ることは正当ではない」と言います。なぜなら犯罪は全て未然に警察が防いでいるから?冗談でしょう?警察によると、私たちはどんなに危険を感じても丸腰でいるべきであり、襲われれば抵抗手段もないまま110番すれば済み、犯罪被害に遭いながら私たちは10分から15分待つべきだと言います。
皆さんはどう思いますか?もし一瞬でも警察の考えに賛成を覚えたなら、あなたは自分の奥さんや娘さんがストーカー被害にあっていても、同じことを言えますか?
スタンガンは武器なのか
軽犯罪法でいう武器とは、具体的には「鉄棒その他人の生命を害し、又は人の身体に重大な害を加えるのに使用されるような器具」と記述されています。スタンガンは果たしてこれに該当するのでしょうか。
スタンガンは相手に電気を流して動けなくさせますが、至って安全な護身具です。電流は人体に安全であり、相手に怪我させたり後遺症を残したりすることはありません。この安全であるスタンガンは、果たして重大な害を与える武器なのでしょうか。
これも、実際問題としてスタンガンの安全性などは論じられず、残念ながら警察は「危険な武器である」とみなします。やはり悪用事例があるから、警察としては取り上げたい、ただそれだけが目的ということです。
2分される考え方
冒頭でも申し上げたとおり、当店のような護身用品専門店では「スタンガンがあったおかげで助かりました」という声が聞かれる一方で、事件としてニュースになるような悪用事件も発生しています。
護身用品を持っていて良かった
助かったという人は、もしスタンガンがなかったらどうなっていたのだろうと恐怖を覚え、スタンガンを持っていて良かったと言います。スタンガンで救われたのだし、スタンガンがなければ最悪の場合命を落としていた可能性もあるわけですから当然です。
護身用品なんかなくなってしまえばいい
悪用されたというニュースだけを見る人は、スタンガンなんか取り締まってしまえばいい、なくなってしまえばいい、と考えます。(スタンガンがなくなれば犯罪がなくなるとは到底思えませんが。)これもニュースだけを見た偏った考えではありますが、わからなくもないですね。
このように、スタンガンの所持については賛否両論です。そして、スタンガンの所持に関する唯一の法律である軽犯罪法は、犯罪被害者の味方にはなってくれません。
最後は自分の判断
スタンガンの所持(持ち歩き)は軽犯罪法に抵触する可能性があります。なぜなら「自分の命を守るため」という理由が正当ではないし、「だれにも怪我させない安全なスタンガン」はとても危険な武器だからというわけです。説明してて頭が混乱してきました。
でもこれが今の社会の現実です。
だから、ひとつだけ自分に問いかけてみてください。
犯人と一対一で対峙して、凶器の餌食になるそのときに、あなたは丸腰でいたことが正しかったと納得できますか?納得できない理由でスタンガンの所持を制限する軽犯罪法を守ってて良かったと、本当に心から思えますか?
では質問を変えてみましょう。
あなたは津波や土石流や火砕流からクルマで逃げているとして、その道路の制限速度が30km/hだからといって道路交通法を守り、飲み込まれてしまってもいいですか?アクセルを踏んで助かろうとしませんか?
軽犯罪法がある以上、スタンガンの所持は皆様個々の判断になります。しかし、スタンガンがあったから助かったという声を実際にいただくことも事実です。こういった方々は、スタンガンを所持していなかったらどうなっていたのでしょう。そう考えると心底恐ろしくなります。
身の危険を感じる、周辺の治安が悪化した、知人が危険な目に遭ったなど、スタンガンを必要と感じるきっかけは人それぞれです。しかし、そうやって自分の安全について真剣に考えたときこそ、護身用品が必要なタイミングです。
火事なんて一生起きないかもしれないけど、私たちは消火器を備えます。外出も同じ。何も起こらなければそれで良いが、何かあったときに対処できるかが一番大切な問題なのです。
ーーー2019/02/06 以下の逮捕についての説明を更新 交通違反と同じという記述を削除 前歴が残るという説明を残らないに変更
余談になりますが、軽犯罪法はむやみに濫用してはならないと定められています。さらに、もし警察にスタンガンが発見されても「住所や氏名が不明の場合」や「犯罪の捜査をするために出頭を求められ、正当な理由がなく出頭に応じない場合」や「逃走の恐れがある場合」に該当しなければ警察も逮捕ができません。もし警察にスタンガンの所持について質問されたら、警察の質問や要請には素直に応じ、逃げるようなことをしなければ逮捕もありませんし、前科も前歴も付きません。
参考:軽犯罪法違反になる意外な行為と処分・罰則内容を解説(刑事事件弁護士ナビ)
何よりも大事な命です。もっと真剣に、現実的に、護身用品の所持の効果とリスクを考えて、後悔のない判断をしてください。
ディスカッション
コメント一覧
スタンガンなんて自分から危険な目にあいに行ってるようなもん
スタンガンなんて自分の手で持って、相手にあてに近づかないといけないので、結局のところ複数人で歩くなり、防犯ブザーを持ち歩く方がいい気がする
アメリカみたいにテイザー銃がないんだし
テイザーになってますが、打ち間違えです
テーザー銃の
「相手にあてに近づかないといけない」ではなく「当てざるを得ない状況下ではスタンガン以外に効果的な護身用品はない」です。
離れていれば、スタンガンの威嚇と催涙スプレーの噴射が効果的です。
相手が密着していたら、その両方とも効果が期待できず、そのような最悪の状況でもスタンガンがあれば助かることができます。
複数人で歩くこと、防犯ブザーの携行などは危険を未然に防ぐ意味で効果はありますが、最悪の事態を脱するためには強力な護身用品が必要です。
警察は信じられないことに「あなたが自分の身を守ることは正当ではない」と言います。と言ってますが警察が軽犯罪法を作ってるんですね!
国会などで法律は作るものだと思ってました笑
警察が法律を作っているわけではありませんね。この場合、警察がその適応条件を判断しているという事になります。
こんにちは
私はあなたと同じ考えをしています
護身用の道具の所持が法に触れるとは思ってもいませんでした。
自分の命を守るための道具の所持が罪にかけられるなんておかしい話です。
誰かに襲われれば呆然と襲われなさいということなのでしょうか??
護身用の道具は全て身を守るために作られているんですよね、なのに携帯することが出来ないとは本当に真っ向からバカげた話です。
逆に護身用具を持っていない人は何を考えているのでしょうか?もしものために非常食を置いていたり、何かがあった時のための貯金とかもしていないのでしょうか!?
自分のことを誰かが守ってくれるといういかれた理論をしているのでしょうね
誰かに襲われたときに自分を守ってくれるボディーガードが急に出てくるとでも思っているのでしょうか?
相手に近づかないといけないとか防犯ブザーを持っていた方がいいとか言っている人がいますが全く持って意味が分かりません、攻撃が目的ではありませんからそもそも近づこうなんてしません、相手に当てられる程の距離になる場合のことは何も考えていなさそうですね。
田舎という存在を知らないのでしょうか?あたりに人気がないところを歩いたことがないのでしょうか?
防犯ブザーが鳴ったところでどうなるんですか?危険が何かを知らない人ですね。
事件は突発に起きる場合もあります。
酔ったものや薬をしている者、誰かに迷惑をかけるものが殴り掛かってきたときに、そのパンチが顔に届くまでに通報が出来て警察が来るのでしょうか?
護身用のものを持っているのがおかしいなんてもってのほか、持っていない人はどうするおつもりなんでしょうね。
護身用具持ってたぐらいで身の安全は保障されません。持っていても危険なのです。
店長の白石さんの記事はすごく共感できました。
本当に危険なときに自分を守るのは自分しかいない、そんなときに法なんて気にしていられないというのが正直な感想ですね
コメントありがとうございます。
正しくは、護身用品の所持は法に触れるではなく、触れる恐れがあるですね。
当店のお客様は、法に触れる恐れの回避よりも、自分の命を守る事を優先されています。
当然のことだと思っています。
防犯ブザーなどの防犯グッズの価値も否定はしませんが、当店が最も重視しているのは、孤立無援の環境で相手と一対一になった時に、自分だけの力で自分の命を守ることです。
そのためには当店のような護身用品が絶対に必要です。
軽犯罪法は解釈が微妙ではありますが、拉致や連れ去り、強盗などの被害者を減らすため、護身用品はなくてはならないと考えております。
警察への110番が無力という考えではありませんが、警察が到着するまでの孤立無援のとき、自分の命を守るために護身用品をお勧めしております。
コメントありがとうございました。
私はアメリカのライフル協会のような保守主義者ではないし、リベラル派の人間ですが、護身用のグッズは正当な市民の防衛であると感じます。
致死性も低い武器ですし、それ自体は違法ではないのに警察の主観に依存しているのは疑問を感じます。
仮に私が、こういった護身用の道具を持って軽犯罪法が認定された場合、否認して裁判まで持って行くつもりです。
こういった判例が少ないのですよね、圧倒的に。
それこそが多くの警官に偏った認識を与えている理由の一つでしょうね。
私も個人的には、私たち個々が自分の命を守ることほど正当な理由はないと思っています。
問題は軽犯罪法がとても古い法律であり、当時の目的は違ったところにあったと思われます。
それに警察の組織としての存在意義や、警察官のプライド問題が重なり。。
しかし法律が改正されれば、護身用品自体が禁止となる可能性もゼロではなく。
日本という国は、比較的安全であると言われながら、一方では自分の身を守りにくい国ともなっています。
残念ながら、個々の安全は個々の判断によるところが大きいのが現状ですね。
法律の解釈がかなり誤ってます。
交通違反と一緒の意味合いでもありません。交通は行政処分です。
なんでもかんでも警察の人達が取り上げるという解釈も誤りです。女性だったり、やむを得ない事情、仕事の種類で変化します。
こういった記事は、法律原文や判例などをよく勉強されてから書かれたほうがいいと思います。
誤った解釈を広めることこそ、犯罪者を作ってしまうことになるかと思います。
コメントとご指摘ありがとうございます。
逮捕について調べなおし、交通違反と同じという記述を修正しました。
軽犯罪法の適用に詳しい方のようですので、警察関係者か法律関係者の方でしょうか。
私が直に複数の警察に質問したとろでは、半数以上の警察官が「どんな理由があっても認められない、110番通報をすれば良い。」といった回答をしました。
所持の正当性を認める警察官もいるかもしれませんが、私の認識ではほとんどの警察官が正当性を認めないと考えています。
犯罪者を作ってしまうつもりは毛頭ありませんので誤解されぬようお願いいたします。
コメントありがとうございました。
最近のあおり運転の映像には恐怖を感じます。「殺すぞ!」と言いながら車から降りてくる切れてる男。
愛車をボコボコにしてくる相手、、、
本当に恐ろしいですね。