繰り返されるタクシー強盗と役に立たない防犯パネル

2018年9月15日

実際のタクシー強盗

画像は2018年8月31日未明、神奈川県川崎市の路上で実際に起きたタクシー強盗の犯行の様子です。(犯人は翌月13日に横浜市内で逮捕されました。)

このタクシーにも防犯パネルが付いていますが、ほとんど役に立っていません。

タクシードライバーの皆さん、タクシードライバーのご家族の方々、タクシー関係者の皆さん、この事件をどう思われますか?

私は常々感じてることですが、あの形だけの防犯パネルって何の意味があるのでしょう。そして、防犯パネル以外に強盗への対抗手段がない現在のタクシードライバーは、あまりにも無防備です。

今回の犯人は運転席に身を乗り出し、刃物を運転手に突きつけています。防犯パネルがあるからといって躊躇する様子は全くありませんし、実際に防犯パネルは全く役に立っていません。誰がこんな無意味なものを考えたんだろう。ただ過剰に運転手の安心感だけを演出するこの手の防犯用品は見てて呆れます。

過去にも多くのタクシー強盗が発生していますが、最近は車載カメラが車内も撮影するようになり、強盗の一部始終が記録に残るようになってきました。実際に画像で見ると、タクシー用防犯パネルの無意味さと、タクシードライバーの危険リスクを強く感じます。

タクシー強盗
▲2017年に埼玉県で発生したタクシー強盗の様子。防犯パネルなど意に介さず犯人はタクシードライバーに刃物を突きつけている。

また、タクシー防犯パネルは犯人を遮らないばかりか、いとも簡単に破損する事も忘れてはなりません。本当に腹立たしいくらいお粗末です。もしも自分の家族がタクシードライバーだったら、開発者もきっと、こんないい加減なもの造らなかったはず。

タクシー車内で暴力
▲蹴るだけで壊れて外れてしまうタクシーの防犯パネル

防犯パネルが付いたタクシーで強盗事件が起きるたび、防犯パネルの無力さを実感するのは私だけでしょうか。どうしてマスコミは、防犯パネルが付いていたにも関わらず起きた事件について、タクシーの安全対策に注目しないのか理解できません。

何度も言いますが、タクシーは乗客の希望する場所に行くのが仕事です。乗客が強盗を計画するなら、当然ながら強盗に都合が良い場所を指示するでしょう。正に自ら強盗の被害に遭いにいくようなものです。また、タクシードライバーは業務中は必ず一人きりです。どんな危険にも自分一人で対処し、身を守らなければなりません。過去には人気の無い所まで乗せて行き、僅かな売上金のために殺害されたケースすらあります。

タクシーはこと強盗に限っては、仕事内容があまりにも不利です。その点に着目すると、役に立たない防犯パネルや、事後の検証にしか利用できない車載カメラだけの防犯対策では不十分としか言いようがありません。

タクシードライバーの皆さんは、もっと仕事上のリスクを主張すべきです。そして、強盗と一人きりで対峙した時に、何らかの、例えば護身用品のような自分一人だけで自分の命を守ることのできるグッズを備えておくようにしてください。