護身グッズを持ち歩きされる方必見!知っておきたい正当防衛の法律知識を簡単にご紹介します。
ご自身の安全を守るために護身グッズの購入を検討されている方はいらっしゃいませんか?
その中でも「護身グッズって法律に引っかからないの?」と疑問に思われている方も多いことと思います。
実際に、防犯グッズもときには法律に引っかかりうることがあるかもしれません。
それでは、防犯グッズを持つときにはどういった法律が関係するのでしょうか。
今回は、防犯グッズを持つ際に知っておきたい正当防衛についてお伝えします。
正当防衛
防犯グッズを使う上で気を付けたい法律知識として、正当防衛が挙げられます。
防犯グッズを罪のない他者を攻撃するために使えば、もちろん傷害や暴行の罪に問われることは疑いようがありません。
他方、防犯のために有効に防犯グッズを使ったはずのときでも、正当防衛の範囲を逸脱してしまえば、罪に問われかねないのです。
「これは正当防衛だ!」「過剰防衛だ!」というような言葉を聞くことがたまにありますよね。では実際にどこまでが正当防衛になるのでしょうか。
法律においては、刑法36条1項に「急迫不正の侵害に対して自己または他人の権利を防衛するため、やむを得ずした行為」とあります。
この要件を3つに分けて解説します。
1.「急迫不正の侵害」
これは、簡単に言うと法益という法律が守るべき利益がすでに侵害されていること、またはその侵害が差し迫っているということです。
具体的に例を挙げて解説すると、AさんがBさんに殴りかかられている場合、Aさんの身体の安全、生命という法益に対してBさんによる侵害が差し迫っているという状態になります。
逆に言うと、Bさんがなんとなく殴ってきそうだからというような理由でスタンガンなどを使うと、急迫不正の侵害ではないため正当防衛の要件に当てはまらないということになります。
2.「自己または他人の権利を防衛するため」
実は正当防衛では守るのは必ずしも自分の権利である必要はありません。
上記の例で挙げると、AさんにBさんが殴りかかっているのを防衛するのは通りすがったCさんでもよいということになります。
そのため、誰かが道端で襲われている際にその人を助けるために防犯グッズを使うことは正当防衛の要件に当てはまることになります。
また、防衛する”ため”にした行為であることが求められるため、Cさんが気にくわないBさんを攻撃したら、それがたまたまBさんに殴られかけていたAさんを救うとにつながったという場合にはAさんの権利を防衛するためにした行為ではないので正当防衛の要件にはあたりません。
3.「やむを得ずにした行為」
これは、侵害を排するためにした行動が適切だったかを判断する際に関係します。
要素としては必要性と相当性というところが問われ、その侵害を止めるためにした防衛が必要だったか、相当だったかというところを判断する必要があります。
必要性においては、逃げられるのにわざわざ攻撃を加えた場合では、必要がなかったと判断されて正当防衛に当たらないというような判断が下されます。
相当性においては、相手の攻撃の手段、程度に対して防衛の手段や程度が過剰ではないかというところが判断されます。
例えば、包丁を持った相手に対してスタンガンで対抗すればそれは相当性が認められそうですが、ハリセンを持った相手や包丁をもった赤ちゃんに対してスタンガンで対抗すればどうでしょうか。
このようにその当時の条件に合わせてこの相当性は判断されます。
なお手段が素手対素手で同じであったとしても、加害者が小学生で防衛側が格闘技経験のある大人であった場合などでは過剰と判断される可能性があります。
過剰防衛
最後に過剰防衛についてお伝えします。
刑法36条2項において、過剰防衛の場合にはその行為に対する刑を減免する旨の記述がされています。
先ほど相当性のところでお伝えしましたが、素手で殴りかかってきた相手に対して包丁で反撃するのは過剰と判断される可能性があります。
これは、質的過剰という考え方に当たります。
過剰防衛においては、質的過剰と量的過剰という2つの考え方があります。
これがどちらかによって過剰防衛自体が適用されるか否かというところに影響します。
質的過剰においては過剰防衛に該当することにあまり争いはありませんが、量的過剰の場合にはその要件に当たらなければただの傷害行為と認定される可能性があります。
量的過剰とは、簡単に言うと追い打ちのような形になります。
相手の侵害に対して、反撃の2発目、3発目と加えていく際にその反撃が一連一帯で同一の防衛の意思がなければ、その2発目や3発目の行為に対しては防衛ですらなく、ただの暴行ととらえられる可能性があります。
以上、正当防衛と過剰防衛についてお伝えしました。
防犯グッズは有効に使えば身を守るために価値を発揮してくれます。
正当防衛に当たる防衛のための正しい防犯グッズの使い方を心がけていただけるとよいかと思います。
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