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石川県金沢市
片町防犯カメラ設置1年 効果じわり

2004年12月11日

北陸最大の繁華街、金沢市片町に、県警と市が防犯カメラ四十五台を設置して約一年が経過した。犯罪抑止とプライバシー保護の両立が課題とされる防犯カメラ。今のところ、運用をめぐるトラブルはないが、劇的に犯罪が減少したとも言い難い。運用状況を点検するとともに、周辺の商店主や通行人らの反応を探った。

六日午後十時すぎ、片町の通称「スクランブル交差点」。平日でも多くの人が行き交う。周辺には約十カ所にカメラが設置され、街灯の柱などに「防犯ビデオカメラ作動中」の白い標示ステッカーが張られている。しかし、注意を払う人は少なく、何枚かは破れかけている。交差点で、カメラについて尋ねてみた。

片町の居酒屋で働く市内の女性(24)は「えっ、カメラがあったの。今まで知らなかった」と驚いた様子。一緒にいた友人女性(24)は「そういえば設置されたんだ、忘れてた。あまり変わらないような気がするけど、ないよりいいんじゃないですか」と素っ気ない。

信号待ちをしていた市内の男性会社員(48)は「大通りでのけんかなどは減ったけど、見えないところでやってますよ」とカメラの“死角”を指摘。強引な勧誘がしばしば問題とされる客引きの男性らは「気にしてたら仕事にならない」と口をそろえた。

防犯カメラが犯罪抑止力を発揮するための前提は、「カメラの存在の市民への周知」。これはまだ不十分そうだが、「見られる」こと自体への抵抗は少ないようだ。

県警は、市のカメラと合わせた運用状況を半年ごとにホームページで公開している。カメラ設置後の片町地区の刑法犯認知件数は、六月末現在で百五十一件と設置前と比べ、前年同期比で二十三件増えている。生活安全企画課は「下半期の統計はまだだが、若干減少傾向にあり、効果は徐々に表れてきている」と説明する。

防犯カメラの映像は、金沢中署の指令室に置かれたモニターに映し出される。しかし常時、監視しているわけではなく、見る場合は運用責任者である署長の承認がいる。映像を複写し、活用する場合は、生活安全企画課長の承認が必要で、「データ管理は徹底している」(生活安全企画課)。

データが生きた犯罪の摘発事例としては、一月に起きた会社員の男がタクシー運転手を殴った傷害事件と、十一月にモンゴル国籍の男子留学生がタクシー運転手から現金を脅し取ろうとした強盗未遂事件。いずれも犯人の逮捕に結びついた。

県警は「カメラは安全対策として、できることはやろうとの考えで設置した。それでも、あくまで公共空間を守るための一つの手段にすぎない」とし、市民の防犯意識の向上に期待している。

一方、「安全のために常に監視していてほしい」との声もある。ピンクチラシ排除などを求めて、カメラ設置を呼びかけた片町商店街振興組合の石田正俊理事長(58)は「カメラが完全に街の風景に溶け込んでしまった」と残念がる。条例の改正で罰則が強化されたこともあり、チラシはほとんど見られなくなったが、カメラの死角を突いた悪質な客引きはまだ続いているという。石田さんは「組合の中では、死角をなくし、ずっと見ていてほしいという意見もある。私はそこまでしなくてもいいと思うが、カメラの存在をもっとPRする必要はある」と課題を挙げた。

片町のカメラ設置を審議した「市安全まちづくり会議」の会長を務める鴨野幸雄金沢大名誉教授は「カメラの安易な受容は、プライバシー保護という大切な問題の無視につながる恐れがある」と指摘し、「県警や市が情報公開を徹底するのはもちろん、市民もカメラを“監視”する意識を持ってほしい」と呼び掛ける。

防犯カメラの在り方については、まだまだ議論の余地がありそうだ。