自宅においての防犯と備え
護身というと、普通は外出時に襲われるケースなどを想像しがちです。
アメリカのように自宅の強盗対策のために銃を常備するような例は極端にしても、皆さんは自宅においてどれ程の防犯意識がありますか?
防犯カメラやセンサーライトは守ってくれるわけではない
最近はホームセキュリティ製品をホームセンターなどでよく見かけるようになりました。センサーアラーム、防犯カメラ、ダミーカメラなどがズラリと並んでいます。これらの製品には共通した目的があります。それは「侵入者の検知」です。
これらの製品はセキュリティ面から見ると「侵入者を発見」したり「証拠を記録」するのに役立ちます。しかし実際に侵入者を発見した時、その場でどう対処して安全を確保するのかが最も大切です。皆さんどう考えているのでしょう。
侵入者の発見後の対処と身の安全の確保。それらをトータルに考え、備えてこそ真のセキュリティです。皆さんは侵入者を発見するだけで満足し、安心してしまってはいないでしょうか。
防犯対策と護身対策を現実的な例に沿って考えてみる
例題で現実的に考えてみましょう。
玄関のチャイムが鳴ったとします。
あなたが防犯カメラを見ると玄関に郵便局員風の人が立っており、手には書きとめ郵便のような封書を持っています。
あなたは多分郵便局の人だろうと思います。しかし、防犯カメラまで設置している程の用心深いあなたは、すぐにドアを開けるのは危険だと知っています。
そこでドアチェーンはかけたままドアを少し開け、簡単に話しをしてみます。そこで間違いなく郵便局員だとわかれば、改めてドアを開けます。
こういったあなたの用心深い対応は正しい行動です。護身面から考えると「警戒する」という点では十分に目的を達成しています。あなたの行動は、ドアのチャイムが鳴ったらすぐにドアを開けてしまう人に比べれば、非常に優れています。
しかし、もう一つの大切な要素である「対処する」について、あなたは何の準備もありません。
実は郵便局員が、似たような制服を着たニセ者で、目的はあなたが持っている貴金属類だとします。そして相手は、万が一あなたが警察に通報しても警察が駆けつけるまでに15分以上はかかる事を知っています。そして、その時間はあなたから貴金属を奪い、逃げるには十分な時間です。
では最悪のケースを仮定してみます。
ドアのチャイムが鳴り、あなたはドアチェーンをかけたまま少しドアを開け声をかけます。
その瞬間に、相手はドアの隙間に足先を押し込み、後ろ手に持っていた小型のワイヤーカッター(強力なハサミのような器具)をドアの隙間から差込み、ドアチェーンをいともたやすく切断します。
あなたは驚きながらもドアが開かないように、ドアノブを必死で掴んでいますが、相手の力にはかないません。そしてドアが開いてしまいます。
その時点で、相手は目的の貴金属を手に入れるためにあらゆる事をする可能性があり、あなたがそれを妨害しようとすれば、あなたにどんな危害を与えるかわかりません。あなたは非常に危険な状況に追い込まれます。しかし、あなたは護身に対して「警戒する」知識はありましたが、「対処する」知識と備えはありませんでした。
この例を極端だと思いますか?近年では実際に宅配便や引越の挨拶を装った強盗事件が起きています。こういった想定は決して非現実的なものではありません。
その場で最悪の危機に自分で対応するのが護身
対処のための知識と準備は、護身対策の大きな要素です。
「護身」が必要なほど危険な状況に追い込まれたとき、ほとんどの場合、その場にはあなたしかいません。警察にしても友人や隣人にしても、その状況を知り、あなたに救いの手を差し伸べるまでには時間がかかります。しかし、あなたの身は既に危険な状況におかれてしまっています。もし家の中に子供や老人などの同居者がいる場合、あなたの身の危険はあなたの家族の危険ともなります。
自宅や住居内においても絶対に安全といった事はありません。
護身とは「警戒」と「準備」が一体となってはじめて機能します。
もう一度、例で考えてみましょう。
護身の対処法を知っていて準備をしているあなたは、玄関の人目に付かないがすぐに手が届くところに護身用スタンガンや催涙スプレーを常備していました。
不審者がドアが閉まらないように何かを挟んだら、慌てず落ち着いてこちらには備えがあると相手に伝えて警告します。
それでも相手がやめなければ、ドアの隙間から催涙スプレーを噴射します。
相手が催涙スプレーにも怯まずチェーンを切ろうとしたら、差し込まれた手にスタンガンを当て、トリガーを押して電撃を与えます。
その結果、相手は貴金属の略奪どころでなくなり、逃げ去る事すら困難になりました。
あなたは落ち着いて玄関の鍵を閉め、警察に110番通報をします。
このように、護身の必要性についてしっかりと理解し備えている場合には、万が一の結果が全く違ったものになるのです。
あまりにも危機意識が薄い日本社会
現在の日本において、ある程度認知されてきた「警戒する」という防犯対策に対し、大部分のお宅がその「対処」まで準備をしておらず、真剣に考えてもいません。(もちろんこのページをここまでお読みいただいた方は別ですが。)
アメリカのように自宅を守るために銃を備えるのは極端な例です。
しかしここ日本においては「護身」に対し、まだまだ意識が薄いのが現状です。
日頃から耳にする事件やニュースは決して他人ごとではありません。
自宅だからといった油断は禁物です。自宅であっても万が一への備えはとても重要です。
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