スタンガンの電気は離れた所に届くのか
スタンガンの電気は離れた所には届きません。その理由を解説します。
スタンガンのよくある問合せ
最近、よく「4〜5m離れた所に電気を飛ばせるスタンガンが欲しい」という問合せを受けます。スタンガンは電極を相手に密着させなければならないと説明しますが、それでもお客様は「電磁波が飛ぶ武器があるはず」だとか「実際にそういった兵器で攻撃されている」といった事を言われます。
スタンガンの原理
スタンガンは高電圧をもって、極端に抵抗の高い人体に微弱な電流を流す事ができます。これがいわゆるスタンガンでの「攻撃」という原理です。スタンガンはそれだけでなく空気中に電流を流す事も出来ます。これは「空中放電」と呼ぶ動作で、スタンガンの先端(機種によっては側面)の放電用電極間でバチバチと火花が飛ぶ現象で、これは威嚇として高い効果があります。しかし、スタンガンが電流を流す事のできる空気中の距離はわずか数センチ以下で、流せるのは対になった電極と電極の間に限られます。
電気が空中を流れるということ
電気には「電気は直線に流れる」「電気は最も抵抗の低い電路に最も多く流れる」「流れ出す場所から到達する場所まで(電気的に)繋がっていなければならない」といった電気特有の特性があります。従って、スタンガンの電極で例えるとすると、放電の瞬間にスタンガンの電極の片側は0Vでもう片側は50万Vとなり、50万Vの電極から空気という導体を経て0Vの電極に電流が流れるのですが、そのコースは「直線に流れる」と「抵抗が一番小さい」といった条件から電極間を直線に流れます(空気は周囲に充満していますが、電気抵抗で考えると最短距離が最も抵抗値が低い)。この場合、強力な磁力など(現実的には不可能ですが)で電路コースを曲げるといった事が考えられますが、どこかの大学の研究所の大掛かりな設備でもない限り、スタンガンの電流を相手に向けて飛ばすのは不可能です。また、そういった設備があったとしても放電スパークを90度コースを変える成功例は聞いた事がありません。また、スタンガンは限られたパワーソースで駆動されます(乾電池)。なので仮に電路を曲げる事が出来たとしても4〜5m、往復で10mも電流を流す能力は到底ありませんし、もしそのような事が可能だったらとうに軍事用に実用化されているでしょう。実際のスタンガンにとって、わずか1cmの空中放電だけでも相当な負担を強いられています。私から見ると、よくもこれだけもパワーソースで空中放電が出来るものだと感心してしまう程です。従って、スタンガンで4〜5m先へ電流を流し、相手を攻撃する(又は攻撃される)事はあり得ません。
離れた相手を撃つスタンガン
4〜5m先の攻撃という点では、この距離ゆえの可能性として一つの武器を考える事が出来ます。それはテーザー銃(電気銃)です。
但し、この銃はあくまで相手に電線(ワイヤー)付きのピンが飛んでいき、相手に刺さった後にその電線を通して電流を流すというものです。もしこれで攻撃された場合は当然、電流の衝撃より先にピンが体に刺さる痛みを感じますし、車の外から締め切った車内の人間を攻撃する事は不可能です。そして、この銃は現国内では使用が認められていません。ただ、テレビや映画、インターネットの動画でこの銃を見た方は、まるで電流が空中を流れているような錯覚に陥るかもしれません。それは電線(ワイヤー)が釣り糸のように非常に細く、画面では見づらい事が多いからです。しかし、これらは間違いなく電線を通して相手に電流を流す武器です。
空中を飛ぶ電磁波(軍事的考察)
電磁波の攻撃としての実用はいろいろな噂が飛び交っていますが、ほとんどの情報は信憑性が薄いものと感じています。 実際にあり得る可能性が高いのはこちらの記事に出ている軍事用の「電磁波爆弾」ですが、これは人体や建物にまったく影響を与えず電子装置のみを破壊する兵器となっています。
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将来はどうなるかわかりませんが、今のところ電磁波兵器が人を殺すような事はないと考えられます。
最後に
噂、SF映画、想像などで武器へのいろいろな思い込みがあるかもしれませんが、離れた人を電気で攻撃するという事がどういう事なのか考えてみました。
参考になれば幸いです。
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