TMMカーボンスチール・アルミ警棒の振出し時斜めロックの説明
TMM警棒は振出すと斜めロックとなる場合がありますが、これには理由があります。
TMM製の以下の特殊警棒は振出し時に斜めにロックされたり、ロックピン式の警棒はロック後にもシャフト間に僅かな隙間が残ってカタカタなる「遊び」が存在します。これは過酷な業務運用やメンテナンス性を考慮した意図的な設計方針によるもので異常ではありません。
その具体的な理由については、TMM社制作の説明書で解説されていますので以下の通り転載します。
二段・三段警棒[補足]取扱い説明書 : TMM制作
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TMMカーボン・スチール・バトン・アルミ合金バトンは完全には真直ぐではありません。厳密に説明すると大半のバトンが拡張した際に2段目3段目の接続部分(ロッキング部分)で大なり小なりに曲がっています。しかしながらバトン自体の強度・性能にはまったく影響はありません。
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バトンの斜めロックの原因は実用性能と相反している事が大きな設計上の理由です。TMMのバトンは基本的に業務用仕様として製作しています。バトンの2段目、3段目のロッキング部分が精密で精度が高ければ高いほど斜めロックはなくなります。しかしながらこの精度は実際にバトンを打撃で使用して少しでもバトンが曲がると、直ちに収納が出来なくなる最大の要因になります。そしてそのまま使用出来ない(バトンを収納できない)ままになってしまいます。
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実際の業務では振り出しの練習や打撃訓練も行いますのでこの微細な曲がりが生じた際の問題点が設計上の大きな難問となりました。結果として業務仕様であることを優先してロッキング部分に許容し得る誤差を少し設けて生産することになりました。このことにより実用性は向上しましたがガタツキや斜めロックが生じ易くなりました。基本的にはアルミ合金バトンも同じ設計です。
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実際に設計上では可能な技術で振出し操作が常に一定であれば斜めロックは解消します。しかしながら振出す人間が個々に違う動作になるので残念ながらその都度角度が違う斜めロックが生じます。
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アメリカ国内ではASP社やウインチェスター社のバトンの各都市にある主管販売店はシャフトの曲がりを修正する専用のバイスを設備していて販売後のメンテナンスでシャフトの曲がりを修理しています。
微細な曲がりでも実際に直線に(まっすぐにかつシャフトの断面が円形になるように)修理するのは、かなりの技術と職人技が必要です。
TMMも実際にウインチェスター社のバトンの輸入を検討していた時はこのシャフト修理の専用バイスを設備することと技術研修を受けることがメーカーの条件でした。専用バイスだけで100万円近くするものでした。
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TMM社の斜めロックの最大の原因はこのロッキング部分の精度を微細な曲がりくらいではシャフトの収納が可能なように設計したことによります。
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実際に日本国内で販売されているASP社のバトンはシャフトの曲がりを修理出来ませんので(修理しないので)微細な曲がりでもすぐにシャフトの収納が出来なくなります。ですから飾って趣味で持っておくために買うようなことになってしまいます。実際にはバトンが曲がっても日本の販売店は修理が出来ないので使用し難いという事になります。
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以上の説明のように日本国内でバトンを護身用として購入・使用する場合はシャフト部分の多少の「ガタツキ」があった方が(ロッキング部分に許容し得る誤差を少し設ける方が)実用的と言えます。
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TMM社ではシャフトの曲がりを修理致しません。シャフトが収納できない程に曲がった場合は、そのバトンの破損とお考え下さい。特にカーボン・スチール・バトン(4135鋼)・アルミ合金バトン(A6061-T6)の場合はシャフトの収納が出来ない程に曲がる圧力が加わった場合は仮に修復してもその箇所が金属疲労を生じますので本来の強度・性能を保持することが困難だからです。何卒ご了承ください。